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ジェイアールバス関東の新旧連節バス[後編]

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前回は、ジェイアールバス関東が2020年に導入した国産新型ハイブリッド連節バスを紹介しましたが、後編の今回は2011年に他社からの移籍で導入し、白河支店に所属している旧型連節バスを紹介します。

スウェーデンと日本のコラボレーション

ジェイアールバス関東の旧型連節バスも福島県白河市にある白河支店に所属しており、同型が2台あります。
両者とも2011年に移籍してきた車両で、前事業者では千葉県千葉市にある幕張(まくはり)新都心エリアの通勤・通学輸送に活躍してきた、1998年式ボルボK-B10Mです。
一見すると国産車に見えますが、エンジン・シャーシはスウェーデンのボルボ製。
ボディは日本で架装したもので、富士重工業(現・スバル)製。当時の大型路線バスでも多く採用されていた富士重工業R17型E、通称「7E」ボディです。

旧型の用途も特定輸送

ボルボK-B10M連節バスも、日野ブルーリボン ハイブリッド連節バスKX525Z1と同じく、路線バスとしての運行はしておらず、特定輸送としてJR東日本総合研修センターに来訪する利用客輸送に特化した運行を行っています。
運行に際し新旧の区別は特に行っていません。
実はボルボK-B10M連節バスは当初4台導入されましたが、すでに2台が引退し、現在活躍しているのは残りの2台です。
2台の詳細は以下のとおりです。

実は「つくば85」の連節バスと同型式

実はボルボK-B10M連節バスのエンジン・シャーシは、1985年3月17日から9月16日までの間、茨城県筑波(つくば)郡谷田部町(やたべまち)……現在の茨城県つくば市で開催された国際科学技術博覧会「つくば85」で、旧・日本国有鉄道(国鉄)常磐線に臨時開設された万博中央駅と会場の間を結ぶために100台導入された連節バス「スーパーシャトルバス」を同じ型式です。
ボディは同様に富士重工業製でしたが、7Eではなく、大型観光・高速・自家用バス用ボディのR15型B、通称「5B」が架装されており、ジェイアールバス関東の車両とは外観から受ける印象が全く異なります。
「スーパーシャトルバス」は日本で初めて本格運行された連節バスで、当時の人々に大きなインパクトを与えましたが、当時の道路事情や行政の対応により、万博閉幕後はそのほとんどがオーストラリアに輸出されました。
残された車両も限られた活躍の場で一生を終えており、全国各地で連節バスが活躍するようになるまでは、それから30年近くを要することになりました。

大型路線バスをそのまま延ばしたようなスタイル

ボルボK-B10M連節バスも青と白の塗り分けで、ツバメのマークがあしらわれている伝統のカラーリングです。
移籍車であることから、元の塗装を活かしてラッピングによる施工が行われていますが、周辺に陽の光をさえぎるような高層建築のない営業所の定位置に長く停められていることから、光が当たる特定の部分のみ一部白っぽくなっています。
しかし、機関はすこぶる良好。
前車体の前扉は包み込むように開閉するグライドスライドドア、前車体の中扉、後車体の後扉はともに4枚折戸を採用しています。
側窓は上段引き違い・下段固定の逆T窓で、一般的な富士重工業7Eボディを架装した大型路線バスをそのまま引き延ばしたようなスタイルが特徴です。

個性的な仕様が光る車内

車内を前車体前方から後車体後方へと眺めると、ツーステップ車であるため後車体の最後部座席まで段差のない通路が続いていることが分かります。
前車体は全て前向き座席で構成されていますが、後車体は後扉付近に横向き座席を配しており、後輪タイヤハウス(タイヤの収納部分)付近は前向き座席で構成されています。
後ろ向き座席はありません。

そして特筆すべき点は前車体と後車体をつなぐ連節部のターンテーブル上にも1人掛け前向き座席4脚が配されていることです。
座席モケットは、前事業者の運行エリアにある野球場にまつわる柄のものがそのまま利用されています。

近年導入されている連節バスでよく見られる後車体のインターホンはありませんが、古い時代のメモリーブザー(降車ボタン)を思い起こさせる形状の非常ボタンを後車体のピラー(窓柱)に4カ所取り付けています。

運転席はインパネ(計器盤)のデザインが直線基調ですが、メーターパネルが大きく明快で視認性に優れています。
変速機はドイツZF製の5速AT(Automatic Transmission:自動変速)で、ボタン式のセレクターが特徴です。

そしてエンジンは前車体中ほどに搭載するセンター・アンダー・フロア方式であることも大きな特徴で、車内床のアクセスパネルを開けると最高出力275ps、総排気量9,603ccの直列6気筒ターボディーゼルエンジンTHD100EE型が顔をのぞかせます。
ボルボK-B10M連節バスは、日野ブルーリボン ハイブリッド連節バスKX525Z1とともに引き続き活躍を続けるとのことです。

※取材協力:ジェイアールバス関東株式会社
※写真(特記以外):伊藤岳志
※文:バスグラフィック編集部(宇佐美健太郎)
※本項に掲載の車両写真は記事掲載を条件に事業者の特別な許可を得て撮影したものです。掲載車両の営業所・車庫内での撮影要望や運行状況などのお問い合わせを事業者へ行わないようお願い申し上げます。

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