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東京BRTの車両(前編:連節バス)

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2020年10月2日公開の「バスギアターミナル」の記事にて、東京BRTの開業を伝えましたが、現在、虎ノ門ヒルズ~晴海BRTターミナルの「プレ運行(一次)」を行っています。
BRTは “ Bus Rapid Transit ” (バス高速輸送システム)の略で、連節バス、公共車両優先システム、バスレーンなどを組み合わせ、速達性・定時性の確保や輸送能力の増大が可能となるような高い機能を備えたバスの輸送形態を指し、我が国では各地で様々な導入事例があります。
東京BRTは、急速に開発が進む一方で、鉄道路線へのアクセスが不便な晴海や勝どきなどの臨海部と都心部を結ぶ新たな交通機関として、2015年4月に東京都が発表した基本計画にもとづき生まれました。
2018年に公募で名称が決定し、京成バスが運行を行っています。
今回は東京BRTで活躍中の車両を前編と後編に分けて取り上げますが、まず前編では国産新型ハイブリッド連節バスを紹介します。

国産新型ハイブリッド連節バス導入の理由は?

東京BRTには、国産新型ハイブリッド連節バス「いすゞエルガデュオ」が1台導入されています。
2015年以降、各地の事業者で連節バス導入が活発化していますが、外国製を含めて選択肢がある中で国産新型ハイブリッド連節バスを導入した理由を聞いてみたところ、東京都都市整備局と京成バスで2016年4月に策定した「都心と臨海副都心とを結ぶBRTに関する事業計画」において、当初から国産連節バスを導入することとしていたとのことでした。
そして2019年5月27日、いすゞ自動車と日野自動車は両社が共同開発した国産新型ハイブリッド連節バスを製造・販売することを発表し、東京BRTにはいすゞ製の国産新型ハイブリッド連節バスが奥戸(おくど)営業所東雲(しののめ)車庫へ導入され、2020年5月28日に登録されました。

トータルデザインにもとづくカラーリング

東京BRTの運行にあたり、路線利用者が接する車両や停留所などの施設、表示類などの全ての要素に対し、一貫したコンセプトをもとにデザインを行って、統一された路線のイメージを創り出し、機能性や魅力を高める「トータルデザイン」を採用しています。
車両の内外装はトータルデザインにもとづいた、特別な仕様となっています。

なお、車体のカラーリングデザインをはじめとする具体的なトータルデザインについては、東京都が2018年11月8日から25日に広く一般へ向けてBRTのデザイン案への意見募集を行いました。
デザイン案はシンボルカラーとなるベース色を変えた3案が提案されましたが、最終的にレインボーカラーが選ばれ、車体はアイボリーホワイトをベースに7色のカラーをリボンのようにあしらったラッピングを施しました。
これは連節バスに限らず、燃料電池バスやディーゼルバスも同様で、東京BRTに導入された車両の共通したカラーリングデザインとなっています。
レインボーカラーには、東京BRTのシンボルカラーとして都心と臨海地域のつながり、地域のにぎわい、未来とともに変化してゆく交通の表現が織り込まれています。

レインボーカラーが印象的な車体

東京BRTに導入された国産新型ハイブリッド連節バスは「いすゞエルガデュオ」で、同車種としては東京BRTが導入第1号車になりました。
型式はLX525Z1で、全長17.99m、全幅2.49m、全高3.26mとなり、乗車定員は113人、社番は1009(江東210あ1009)です。
一般的な大型路線バスと比較すると、大まかに言って全幅と全高は変わらないものの、全長と乗車定員は1.5倍近く大きくなります。

外観はフロントウィンドウとリアウィンドウ下、扉と窓廻りをブラックアウトしており、レインボーカラーと良いコントラストを見せ、パステル調に仕上げられたレインボーカラーを引き立たせている印象です。
ブラックは前面と後面から廻り込むように屋根上にもおよび、通風器のカバーまでもブラックアウトされていますが、もともとの仕様として、前車体前方にあるバッテリーのカバー、前車体中ほどと後車体にある電動式パッケージクーラーのカバーについては、周囲をブラックとして上面だけホワイトを残す塗り分けとなっています。

車体へリボンを巻くように配したレインボーカラーは、従来の路線バスのカラーリングデザインにはない洗練されたものですが、優しさと温かみを感じます。
行先表示器はフルカラーLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)による電光表示ですが、行先・系統番号を和文と英文で大きく表示した後、発車時刻と行先・系統番号を併記した表示を繰り返すパターンとなっています。

最高出力360ps、総排気量8,866ccのインタークーラーターボ付き直列6気筒ディーゼルエンジンA09C型とモーターは最高出力90Kwの交流同期モーターを搭載しています。

ハイセンスな車内デザイン

車内を前車体前方から後車体後方へと眺めると、後車体の後扉付近まで長いノンステップエリアとなっていることが分かります。
座席配置は国産新型ハイブリッド連節バス全てにおいてほとんどが同じで、基本的には前向き座席で構成されており、タイヤハウス(タイヤの収納部分)上にあるものは一部が後ろ向き座席となり、横向き座席がありません。

東京BRTの車両の床上張りは木目調となっていますが、前々回紹介した神姫(しんき)バスの “ Port Loop ” 用の国産新型ハイブリッド連節バスの木目調の床上張りとは木目パターンが異なっており、運転席側前輪タイヤハウス直後にある4脚の1人掛けはね上げ式座席部分のみ、周囲より濃い色味の木目調となっています。
これら4脚の座席を全てはね上げると車イス2台分のスペースとなり、車イス固定装置も備えています。
おもに車イス乗降用として中扉前の床面には反転式スロープがありますが、後扉前にはありません。

後車体のホロ直後の運転席側座席2脚は、導入事業者によって1人掛けか2人掛けかの違いがありますが、東京BRTの車両は2人掛けで、最後部座席は3人掛けとなっています。
座席モケットは紺色で、シートバック上方に “ TOKYO BRT ” の文字が入れられています。

つり手は振れ留め部分に木目調のアクセントが入ったもので、車内のデザインは全体的に見てハイセンスな仕上がりとなっています。

運転席廻りはこれまでの「バスギアターミナル」各記事や本誌誌面で紹介してきた横浜市交通局(横浜市営バス)、三重交通、神姫バスへ導入された国産新型ハイブリッド連節バスと基本的な構造は変わりません。
変速機は7速AMT(Automated Manual Transmission:自動変速マニュアルトランスミッション)となります。

スイッチボックス脇と運転席直後の仕切り、後車体最前部のピラー(窓柱)にはEDSS(Emergency Driving Stop System:ドライバー異常時対応システム)の非常ボタンが備え付けられており、安全対策も同様に徹底しています。
後車体には連節バスならではの装備として、非常時に乗務員と通話することができるインターホンを備えています。

※ 取材協力 : 京成バス株式会社、東京BRT株式会社
※ 文・写真 : バスグラフィック編集部(宇佐美健太郎)
※ 本項に掲載の車両写真は記事掲載を条件に事業者の特別な許可を得て撮影したものです。掲載車両の営業所・車庫内での撮影要望や運行状況などのお問い合わせを事業者へ行わないようお願い申し上げます。

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