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沖縄バスを整備する![後編]

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沖縄県那覇(なは)市に本社を構え、沖縄県全域に路線バス網を展開する沖縄バス。
今月は同社で日々の安全運行を支え、常に車両をベストコンディション保つため励んでいる整備部門を前編と後編に分けて紹介します。
後編では沖縄バスの整備点検の施設や装置・工具を紹介します。
同社ならではのものはあるのでしょうか?

リフトジャッキには効率よく整備点検車がピットイン!

沖縄バスの整備工場は、那覇市にある旭町整備工場と、名護(なご)市にある名護整備工場の2カ所ですが、今回は旭町整備工場で取材を行い、整備点検のための施設や装置・工具をこれから紹介していくことにしましょう。
旭町整備工場は鉄筋コンクリート造りの2層式立体駐車場1階部分の一角にあります。

立体駐車場の1階部分にあることからスペースは広々としており、多少の風雨では吹き込みもないため、快適に作業を進めることができます。
事務所の前には車両下廻りの整備点検に欠かすことのできないリフトジャッキが2基装備されていますが、スケジュールにのっとって非常に効率よく整備点検を行う車両がピットインしていきます。
リフトジャッキ上方には重い部品をつり上げるための天井クレーンも備え付けられています。

職人技が光る鈑金作業室と塗装ブース

旭町整備工場のリフトジャッキがあるピットのすぐそばには鈑金・塗装ブースが設けられており、蛇腹(じゃばら)式の覆いを持つ塗装ブースと鈑金作業室があります。
車体の傷やヘコミ、浮き出た錆(さび)は、ここで鈑金班の整備士たちがしっかり鈑金補修を行い、美しく塗装を行うことで、元どおりのみずみずしいコンディションを取り戻すことができます。
取材時には、大型ワンステップ路線バスの右側面スソのパネルに付いてしまった傷を直すための鈑金作業が行われていました。
車体から傷のあるパネルを外して鈑金作業室にある作業台の上に置き、鈑金班の整備士同士が現物を前にしてどのような作業を行っていくのか綿密な話し合いが行われていました。

鈑金を無事に終えると車体にパネルを取り付け、マスキングのうえ部分塗装を行って仕上げます。
仕上がった部分は傷が付いていたことがウソのように元のきれいな状態に戻り、鈑金班の整備士の職人技が冴(さ)え渡っていることを実感しました。

更正室とは?

旭町整備工場には「更正室」と呼ばれる部屋もあります。
部屋の名称の響きからすると整備点検とは関係なさそうなイメージもしますが、「更正室」とは故障や不具合が起きた車両装備を個々に修理する作業場所で、沖縄バスならではの呼び方です。
故障や不具合が起きた装備を車両から取り外し、分解・洗浄のうえ、パーツの交換や修理を行い、再び組み立てと調整をして元の状態に戻します。
取材時には、ちょうど中型路線バスの変速機関係のシフトコントロール装置の空気もれ修理を行っているところでした

更正室の棚にはラジエーターファンやブレーキ装置の一部であるエアーマスターなど、修理を終えた装備の数々が置かれていました。
さまざまな車種・型式、年式のバスが活躍する沖縄バスにおいて、各車がベストコンディションを保てる理由はこの更正室にあります。

整備点検の秘伝の装置・工具は?

バスを整備点検する設備、装置や工具は、それぞれの事業者で使い慣れたものや工夫を凝らしたオリジナルのものがありますが、沖縄バスならではのものを中心に記事の最後に紹介します。

ミッションつり下げ台は、約200kg前後もある大型バスのトランスミッションを、車内最後部座席手前の床の点検口から安全に下ろすことができます。

ミッション置き台は、点検整備で車体から下ろしたトランスミッションを置くキャスター付きの台で、沖縄バス整備部門オリジナルの道具です。

クラッチ・エアー抜き器は、クラッチペダル踏力補助装置であるクラッチブースター交換時に空気を抜き、空気が入ってクラッチの切れが悪くなることを防ぎます。

クラッチレリーズレバーチェッカーは、構成室の秘密兵器とも言え、クラッチ部品の一つであるクラッチレリーズレバーの取り付け高さを計るもので、規定の高さになると点灯して知らせます。

リベッターは、ブレーキ部品であるブレーキシューとブレーキライニングの貼り替え後、両者を貼り合わせているリベット(鋲:びょう)の頭をつぶす工具です。

バッテリー液補充タンクは、バッテリー液を自動で注ぎ出すもので、沖縄バス整備部門オリジナルの道具ですが、何とウィンドウォッシャーのモーターを再利用して作られています。

クーラーガス交換器は、冷房装置に使用されているクーラーガスの入れ替えを行う装置で、キャスター台に一式が載せられているため、どこへでも持って行けます。

このように、丹念な整備点検の姿勢と職人技が脈々と受け継がれ、沖縄バスの安全文化が守られています。

※取材協力:沖縄バス株式会社
※写真:伊藤岳志
※文:バスグラフィック編集部(宇佐美健太郎)
※本項に掲載の車両写真は記事掲載を条件に事業者の特別な許可を得て撮影したものです。掲載車両の営業所・車庫内での撮影要望や運行状況などのお問い合わせを事業者へ行わないようお願い申し上げます。
※本記事は2017年3月29日発刊の『バスグラフィック』Vol.30の掲載内容を再編集したものです。

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