ここはホントに東京都内? はとバスでSDGsを感じる旅を体験してみた [後編]

そこで、運行開始初日に『バスグラフィック』イメージガールが乗車体験してきたことから前編と後編に分けてツアーの様子をレポートしますが、後編ではこのツアーの醍醐味(だいごみ)とも言える場所を紹介していきます。
檜原都民の森での森林ウォーキングで見えたものは?

都心からはとバスに乗って約3時間で到着した山岳公園の「檜原都民の森」。
そこでは片道約1.5kmの森林セラピーロードのウォーキングを行います。
森林セラピーロードはウッドチップが敷き詰められた整備された道で、木のかおりがただよいリラックス効果は抜群(ばつぐん)!
非常に歩きやすいため、山歩き初心者でも比較的安心してハイキング気分が味わえます。
檜原村エコツアーガイドさんも同行し、森林セラピーロードで見られる植物を中心にして適宜(てきぎ)説明を行ってもらえます。

森林セラピーロードを歩いていくと、途中で南側の風景を眺めることのできる見晴らし台があります。
晴れていれば、視界左側に浅間尾根(せんげんおね)、右側に生藤山(しょうとうさん)や浅間峠(せんげんとうげ)、土俵岳(どひょうだけ)といった標高800~1,000mの山々が連なる笹尾根(ささおね)が見られますが、この日はあいにくまだ霧が晴れなかったため見ることができませんでした。
冬の空気の澄んだ日には尾根の先遠くに東京湾が望めることもあるそうです。

「山の天気は変わりやすい」という言葉がありますが、まさにそれを実感するかのように、見晴らし台を過ぎてさらに15分ほど森林セラピーロードを歩いていったところ、雲が厚くなりまた霧が濃くなってきてしまいました。
その時、見えて来たのは吊(つ)り橋です。
南秋川水系の最も上流に架かっている吊り橋ですが、この橋が見えて来るといよいよウォーキング往路のゴールが近いということになります。

折り返し地点である吊り橋に到着!
ここから再びもと来た道を戻り、スタート地点の広場を目指します。
若いだけあって全く疲れ知らずのバスグライメージガール、高い場所は苦手ではないかと尋ねてみたところ「あまりこわくない」とのことでした。

この吊り橋、実は滝見橋(たきみばし)となっていて、落差35mの岩肌(いわはだ)を流れ落ちる三頭大滝(みとうおおたき)を眺めることができます。
足下の谷深く流れ落ちる水が自然の豊かさを感じさせます。

森林セラピーロードを再度ウォーキングで戻る途中で、檜原村エコツアーガイドさんが「崖(がけ)の上にシカがいますよ」と教えてくれました。
ニホンジカと思われますが、東京都内とは言え、このような山深い場所であることから出没も珍しくはありません。
かつては狩猟(しゅりょう)などで個体数が著(いちじる)しく少なくなった時期もあったそうですが、近年は逆に数を増やし、希少な山野草が食害に遭ってしまう問題が顕在(けんざい)化してきていることもよく耳にします。
比較的人にも慣れているようで、森林セラピーロードを行き交(か)う人々の声や物音にも動じる様子はありませんでしたが、改めて人と自然との関わり方を考えさせられます。
兜造(かぶとづく)りの古民家で山菜尽くしの昼食を堪能(たんのう)!

「檜原都民の森」での往復約80分の森林セラピーロードのウォーキングを終え、バスに戻りました。
ここからバスで少し山道を下る格好で、昼食を取る三頭山荘(みとうさんそう)に行きます。
三頭山荘は地産地消東京都特産食材や山菜を使った料理、温泉などを楽しむことができる旅館ですが、今回のツアーではこの旅館でランチタイムを過ごします。

三頭山荘本館は築約400年の富士系四層兜造りの建物です。
兜造りは檜原村の古民家でよく見られ、重厚(じゅうこう)な造りの屋根が特徴です。
かつて、三頭山荘本館の屋根は茅葺(かやぶ)きだったようですが、現在では瓦葺(かわらぶ)きになっています。
しかし、堂々として落ち着いたたたずまいには誰もがノスタルジーを感じます。

三頭山荘本館は古民家そのもの。
玄関先には臼(うす)や杵(きね)、切り株などが置かれていて、むかし話に出て来そうな雰囲気です。
格子(こうし)の木製引戸のある玄関から、靴(くつ)を脱いで上がります。
ウォーキングでお腹もすいてきたので、昼食が楽しみです。

玄関の扉の上の鴨居(かもい)部分には各旅行会社の協定看板が掲(かか)げてありました。
その中でもちょっと興味をひかれたのは、日本交通公社(現・ジェイティービー)の協定看板。
日本交通公社は37年前に現在のマークへと変わり、呼称も“JTB”となりましたが、それよりも前の時代の旧マークの協定看板がきれいな状態で残っていました。
ただ、築400年とも言われる建物の歴史に対しては浅いかもしれませんが……。

昼食は檜原村で採れた山菜の小皿12皿、とろろ、ニジマスの甘露煮(かんろに)、田舎(いなか)麦飯、お味噌汁(みそしる)。
山菜は小さな丸皿にこごみ、きゃらぶき、のびるの味噌漬(づ)け、ぜんまい、ふきのとう、ユリ根などが並べられました。
また、少し大きめの角皿でコンニャクのお刺身(さしみ)とわさび漬けが出されました。

普段はなかなか食べることのない山菜が多かったものの、バスグライメージガールは健康的で質素なこの昼食がとてもおいしかったとのことで、残すことなく食べ終わりました。

三頭山荘本館は、もともと養蚕(ようさん)を行っていた建物であったため四層構造になっており、ハシゴのような急階段を上がって上の階を見学することもできます。
20代アタマですが、物静かで古き良き和の雰囲気も見え隠れするバスグライメージガールは実は少し冒険好きな面もあって、「上の階を見てみたい」と言い、一番上の階まで上がりました。
床はスノコ状で階下が素通しで見えますが、臆(おく)することなく歩み板の上を歩き、昔の生活に思いをはせました。

階下にはこの建物を使用していた一家の歴史を物語るような品々が展示されていました。
各種農機具やはく製、生活用品などなど様々な物が所狭(ところせま)しと置かれており、少し不思議な空間でもありました。

建物内の探検も終わり表に出たところ、ちょっとした和風庭園に水車小屋がありました。
水車は直径約3mで、本体にマツ、軸にクリ、他の部分にはケヤキも使われているそうで、木製のクサビだけで各部材を固定して造られているとのことです。
コースもう一つの目玉!? 天然温泉へ入浴

三頭山荘で昼食を終え、またバスに乗りますが、ほどなくしてすぐに次の目的地に着きました。
やって来たのは「檜原温泉センター 数馬(かずま)の湯」です。
そう、このコースには何と温泉の入浴が組み込まれているのです。
早速バスを降り、温泉に入ることにしましょう。

「檜原温泉センター 数馬の湯」は1996年にオープンした檜原村にある天然温泉です。
「檜原都民の森」をはじめ周囲の山々へのハイキングやトレッキングを行う人々が帰りに立ち寄り、疲れを癒(いや)すことの多い温泉としても知られています。
豊かな自然に囲まれ、澄んだ空気の中で入る温泉は格別で、ツアー参加前からバスグライメージガールも「ぜひ、入ってみたい」と話していたことから、温泉入浴も体験してもらうことにします。

建物内には3つの浴槽(よくそう)があり屋外には露天風呂と壺湯(つぼゆ)もあり、合わせて5つの浴槽があります。
また、ジャグジーや圧注浴(あっちゅうよく)なども備えており、山々を眺めながら入る露天風呂は格別。
泉質は肌(はだ)にやさしいアルカリ性単純温泉です。

実はこれまでの取材・撮影で悪天候になったことがないバスグライメージガール。
今回も「晴れ女」のパワーを見せ付け、朝方の雨がウソのように上がり、天気が回復しました。
陽が当たって施設周辺の新緑はより鮮やかに、ところどころに咲き誇るフジの花の薄紫(うすむらさき)色も際立(きわだ)ちます。

1時間以上の温泉タイムを終え、バスグライメージガールが出て来ました。
「5種類全部の温泉に入りました」とのことで、温浴効果で身体の芯(しん)から温まり、むしろ暑いくらいであるとの感想でした。
湯上り美人、一丁上がりといったところでしょうか。

温泉で十分にリフレッシュし、またバスに乗りますが、いよいよ旅の終わりも近付いて来ました。
最後に立ち寄るのは、檜原村の名物にかかわる場所とのことですが、一体どこへ行くのでしょうか。

今回のコースで最後に立ち寄る井上食品に到着しました。
井上食品は、檜原村の特産品であるこんにゃくを製造・販売しており、ここで試食と購入することができるのです。
井上食品のこんにゃくは、国産生芋(なまいも)を使用し、昔ながらのバッタ練り製法で手造りしているため、その味は格別です。
工場兼店舗の前に試食テントを設け、刺身こんにゃくやコンニャクソーメン、煮込みこんにゃくなどをツアー客にたくさんふるまってくれました。
「おいしい! まだまだ食べてみたい」と感じたら、併設されている直売テントですぐに購入することが可能です。

試食コーナーでオススメしてもらったこんにゃくをいろいろ食べてみたバスグライメージガールも「本当においしい」と檜原村・井上食品のこんにゃくを大絶賛。
今回のコースは、ウォーキングに温泉、こんにゃくと健康や美を意識する方にもピッタリなコースです。

いよいよ、帰路に就(つ)きます。
帰りに檜原村よりちょっぴりとしたプレゼントがあり、檜原村公式キャラクター「ひのじゃがくん」のピンバッチや檜原村の水、香りが楽しめるひのきの削り節、ひのじゃがくんポテトクッキーが小さな手提(てさ)げに入っていました。
旅の思い出に最後までうれしいおもてなしです。

バスはもと来た道を都心に向けて走ります。
この日は中央自動車道も渋滞がなくスムーズに流れており、出発地点の東京駅丸の内南口のはとバス乗り場へ見込んでいた時間よりも早く到着しました。
本当に充実した内容のツアーでした。
「はとバス×檜原村タイアップ企画 東京の森へ…檜原村サステナブルツアー」は今後、6月8日(日)・14日(土)・ 28日(土)、7月13日(日)に運行予定とのことで、本記事をご覧になって「行ってみたい!」と思われた方は、ぜひ!
※ 取材協力 : 株式会社はとバス
※ 写真(特記以外)・文 : 宇佐美健太郎
※ 本記事内中に公開している写真は記事制作を条件に、事業者や関係先の特別な許可を得て撮影したものです。
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