UDトラックスの新しい社バスにエルガEV登場!

UDトラックスでこれまで活躍してきた社バスは、ディーゼルエンジンを搭載した大型バスでしたが、導入から約20年が経過したことから、このほどいすゞ自動車のBEV(Battery Electric Vehicle:バッテリー式電気自動車)フルフラット大型路線バス「いすゞエルガEV」が社バスとして導入されました。
今回の「バスギア ターミナル」のWEB記事は、UDトラックスに社バスとして導入されたいすゞエルガEVを速報でお届けします!
社バスにいすゞエルガEVを選んだ経緯は?

UDトラックスは埼玉県上尾(あげお)市に本社を置く商用車メーカーです。
2010年までは「日産ディーゼル工業」という社名で、当時まではバスの製造・販売も行っていましたが、現在はバス事業から撤退しています。
また、同社は2021年より、いすゞグループの一員となりました。

UDトラックスでは、JR高崎線の上尾駅と同社を結ぶ社バスを運行していますが、朝・夕の時間帯を中心に、これまではおもに自社製大型バスを充当してきました。
全部で6台ありますが、車検や整備の際に使用しないことを考慮して1台を予備車として1日の運行を5台で回しています。
JR上尾駅と同社の間は往復約5.7kmで、1台あたり朝・夕の時間帯でそれぞれ4~5回運行に就いているとのことです。
ただ、それら6台の社バスも導入から約20年が過ぎ、経年化による不具合や、バス事業撤退による補修部品の調達難といった課題が顕在化しました。
そこで、2025年1月から運行部門、車両を購入する調達部門、デザイン部門、充電施設を整備するリアルエステート部門、広報部門の5部署が集まって本格的に車両代替のプロジェクトが立ち上がり、今回のいすゞエルガEVの導入にいたりました。
導入メリットとカラーリングデザインに込めた意味は?

UDトラックスが新しい社バスにいすゞエルガEVを選んだ最大の理由は環境対応。
同社はいすゞグループであるため、いすゞエルガEVが販売開始となったことで、いすゞエルガEV一択であったとのことです。
さらに、従業員の環境意識向上もねらいの一つとのことです。
現在、使用しているディーゼルエンジン搭載の社バス6台は、2026年1月末までに全ていすゞエルガEVへ置き換えたいとしています。
これにより、同社の目標値として工場内で年間約70tのCO2(二酸化炭素)削減につながると計算しています。
また、既存車両は導入から約20年が経過し、修理や補修費用が増加しているため、EV化によるコスト低減も期待されています。
いすゞエルガEVは、エンジンオイル交換が不要で、減速時にモーターを発電機として電力を回収する回生(かいせい)ブレーキを装備しているため、ブレーキパッドなどの消耗部品の交換頻度も減少し、ランニングコストの削減につながると見込まれています。

カラーリングデザインについては、従来の社バスの白をベースにしてUDレッドをあしらったものから、アースカラーであるサンドベージュとブラックで車体の端を縁取(ふちど)るように配したものに変わったことが大きな特徴です。
これは、いすゞエルガEVのカタログカラーをベースにして、先進感やサステナビリティをアースカラーで表現し、より親しみやすさを与え、UDトラックスの社風でもある多様性、フレンドリーさなどを融合させて織り込んだものとのことです。
なお、このカラーリングデザインはラッピングではなく全て塗装によるものです。
前面行先表示器と側面行先表示器にはUDマークとともに“UD TRUCKS”の文字を表示しています。
また、屋根上前方にあるバッテリーのカバー左側面には“Going the Extra Mile”と“EV”の標記が施されており印象的です。

後面は白一色で、後面行先表示器にもUDマークとともに“UD TRUCKS”の文字を表示しています。
屋根上前方にあるバッテリーのカバーの右側面には“EV”の標記とともに、社名標記が施されています。
一見ゴールドにも見えるサンドベージュが、社バスのイメージらしからぬ上品なたたずまいを演出していますが、デザイン担当によると、このカラーリングデザインには社バスとしての機能、気持ちをきちんと乗せているとのことでした。

前面と後面は基本的に白一色のカラーリングデザインとなっていますが、当初はグラフィックを乗せるアイデアはあったものの、全体のまとまりとして美しく見せるという観点から、白一色になったとのことです。
後面については、今後“Japan Mobility Show”(ジャパンモビリティショー)などのイベントで外に向けて発信したい時など、白一面のスペースを使って告知をするということも想定しているそうです。
なお、車検証による型式はZAC-LV828L1、全長10.54m、全幅2.48m、全高3.33mで、乗車定員は65人です。

充電設備はUDトラックス敷地内の社バス乗り場付近に3基設置されました。
いすゞエルガEVの社バス導入に合わせ12月第3週目に設けられたばかりとのことで、現在主流のCHAdeMO(チャデモ)方式による急速充電器です。
気になる車内の様子は?

それでは、UDトラックスが導入したいすゞエルガEVの社バスの車内を見てみましょう。
フルフラットバスであることから通路はもちろんのこと、座席下の部分にも段差がないことが特徴で、最後部座席直前の座席は後ろ向き座席となっています。
そして特徴的なのは、前方から中扉までの運転席側の座席が2人掛け前向き座席となっていることです。
いすゞエルガEVの座席レイアウトは都市型と郊外型の2つの座席レイアウトが用意されていますが、UDトラックスが導入したいすゞエルガEVの社バスは、後者の座席レイアウトを採用しています。

運転席側の2人掛け前向き座席の様子です。
前から3・4席目の座席がはね上げ式となっており、はね上げると1台分の車イススペースとなります。
都市型の座席レイアウトの場合、前から4席目までが1人掛け前向き座席となることが違いです。

車内中ほどからの前方への眺めです。
フロントウィンドウ直上に大型モニターを設置していますが、これは社会見学などで来訪者が乗車した際、会社概要などを表示する用途を想定しています。

運転席の様子です。
路線バスではないのでワンマン機器は取り付けていませんが、メータークラスター左脇にはiPad(アイパッド)などのタブレット型コンピューターを取り付けるホルダーを備えていることが目立った特徴です。
ここに取り付けたタブレット型コンピューターから、大型モニターへ会社概要などのコンテンツを送出することを予定しています。
下方には無線機も取り付けています。

いすゞエルガEVの社バスはまず12月23日に「大宮230さ2501」と「大宮230さ2502」の2台が導入され、2026年1月7日に2台、つづいて16日に2台導入される予定で、1月中には全6台がそろうとのことです。
「大宮230さ2501」は、12月25日の夕方の時間帯から早速稼働を始め、家路につく従業員の方々をJR上尾駅に安全かつ快適に送り届けていました。
UDトラックスの社バスとして導入されたいすゞエルガEV、今後の活躍が大いに期待されます。
※ 取材協力 : UDトラックス株式会社
※ 写真 ・ 文 : 宇佐美健太郎
※ 本記事内中に公開している写真はメーカーの報道公開にて撮影したものです。記事中の車両についてのお問い合わせをメーカーへ行わないようお願い申し上げます。
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