国内最大級バスターミナルに向けまた前進!「バスターミナル東京八重洲 地下A」開業!!

東京駅八重洲口側も外堀通りに面した3つの市街地再開発事業を行っており、周辺の道路上に散在していた高速バスのバス停を集約し、各再開発事業の地下階に「バスターミナル東京八重洲」の整備を進めています。
「バスターミナル東京八重洲」については、3つのエリアが段階的に整備されており、まず2022年9月17日に第1期エリア「地下B」が開業。
そして、2026年3月20日に第2期エリア「地下A」が開業しました。
第3期エリア「地下C」は2029年の開業を目指して引き続き整備中で、全体開業時には施設面積約21,000㎡、乗降20バースの国内最大級の高速バスターミナルになります。
今回、第2期エリア「地下A」の開業前日に開業式典と報道公開が行われたことから、特別編として詳しく見ていくことにします。
実はまだ建設中、「バスターミナル東京八重洲」の全貌(ぜんぼう)は?

2026年3月20日に新たに開業した「バスターミナル東京八重洲 地下A」の施設面積は約6,000㎡。
バスが走行する車路(レーン)はサーキット状の構造となっており、バスはぐるりと周回することができ、車路の直線部分に沿って乗降バースを設けています。
地上へのバス出入口はサーキット状の車路の内側にあり、スロープで結ばれています。
乗降バース7カ所、待機バース2カ所を備えており、乗降バース番号はA01からA07が付番されています。

「バスターミナル東京八重洲 地下A」は、2026年2月に竣工(しゅんこう)し、地上51階・地下4階、高さ約250mある超高層複合ビル“TOFROM YAESU TOWER”(トフロム ヤエス タワー)の地下階に設けられました。
ヤエチカ(八重洲地下街)と直結しており、東京駅八重洲北口および八重洲中央口から地下レベルで直接アクセスが可能な、非常に利便性が高い位置にあります。

「バスターミナル東京八重洲」は、東京駅八重洲口前で施工主体が異なる市街地再開発組合が行う3つの再開発事業にまたがり、段階的に整備を行っている高速バスターミナルです。
市街地再開発事業には、都市再生機構(UR都市機構)が参加組合員として参画し、バスターミナル床(ゆか)を取得・保有しています。
それを京王電鉄バスに賃貸し、運営を行うという座組みです。
運営事業者に京王電鉄バスが選定されたのは2020年11月で、公募によるものです。
まず、2022年8月に第1期エリアとして、地上45階・地下4階、高さ約240mの超高層複合ビル「東京ミッドタウン八重洲」が竣工。
同年9月17日に地下階の一部に施設面積約7,000㎡の「バスターミナル東京八重洲 地下B」が開業しました。
そして、2026年2月に第2期エリアとして“TOFROM YAESU TOWER”が竣工し、3月20日に「バスターミナル東京八重洲 地下A」が開業しました。
上掲の地上図は、東京駅と「バスターミナル東京八重洲」ですでに開業した「地下A」「地下B」の位置関係を示しています。

残るのは第3期エリアとして整備している現在建設中の地上43階・地下3階、高さ約227mの超高層複合ビルで、2029年1月に竣工予定です。
その地下階に施設面積約8,000㎡の「バスターミナル東京八重洲 地下C」を整備することで、「バスターミナル東京八重洲」は全体開業し、「地下A」「地下B」と合わせ、施設面積約21,000㎡、乗降バース20カ所、待機バース8カ所を持つ日本最大級の高速バスターミナルが誕生します。
全体開業すると乗降バース数では「バスタ新宿」(新宿南口交通ターミナル)の15カ所を上回り、1日1,500便以上の発着が可能となります。
上掲の地図は、3つの市街地再開発事業の位置関係と、従来の東京駅八重洲口周辺の高速バス乗り場の位置関係を示しています。

上掲写真は「バスターミナル東京八重洲 地下A」がある“TOFROM YAESU TOWER”の48階からの眺めで、住友生命の看板を掲(かか)げた中央の超高層複合ビルが2022年に竣工した「東京ミッドタウン八重洲」です。
その後ろには少しだけ数基のタワークレーンが見えますが、そこが第3期エリアとして整備している現在建設中の超高層複合ビルになります。
「東京ミッドタウン八重洲」の地下階には4年前、すでに「バスターミナル東京八重洲 地下B」が開業していますが、3年後に第3期エリアの超高層複合ビルが竣工すると、「バスターミナル東京八重洲 地下C」が「バスターミナル東京八重洲 地下B」に接続する形で開業し、今回紹介する「バスターミナル東京八重洲 地下A」と合わせて全体開業します。
なお、「バスターミナル東京八重洲 地下A」は「地下B」「地下C」とは独立した位置関係になります。
最初で最後!? 車路上に設けたステージで記念式典

2026年3月19日、「バスターミナル東京八重洲 地下A」の開業前日に開業式典が開催されました。
当日は「地下A」のバスが走行する車路上に特設ステージが設けられ、事業関係者や行政関係者らが出席しました。
主催者と来賓(らいひん)の挨拶(あいさつ)が行われた後、関係者によるテープカットが行われました。
上掲写真は左からテープカットに臨む、東京大学大学院 新領域創成科学研究科の中村文彦(なかむら・ふみひこ)特任教授、中央区の田中智彦(たなか・ともひこ)副区長、京王電鉄バスの宮坂周治(みやさか・しゅうじ)代表取締役社長、UR都市機構の西野健介(にしの・けんすけ)東日本都市再生本部長、国土交通省 都市局 街路交通施設課の筒井祐治(つつい・ゆうじ)課長、東京駅前八重洲一丁目東B地区市街地再開発組合の加藤一男(かとう・かずお)組合理事長。

式典のはじめには、主催者としてUR都市機構の西野健介東日本都市再生本部長と、京王電鉄バスの宮坂周治代表取締役社長が挨拶をしました。
UR都市機構の西野本部長は、「パートナーである京王電鉄バス様と手を携(たずさ)えながら、お客様から選ばれるバスターミナルを目指していきたい」と語り、安全・安心で快適なバスターミナルの運営に努める決意を示しました。
また、京王電鉄バスの宮坂社長は、「日本でも有数の高速バスターミナルが開業したことにより、まだ東京駅周辺で発着している高速バスの新たな受け入れのほか、貸切バスや定期観光バスの発着や一時駐車利用も積極的に受け入れ、東京駅周辺の交通環境の改善にさらなる貢献をしていきたい」と語りました。
そして、現在、人口減少や運転手不足により生活の足である一般路線バスの経営は極めて深刻な状況にある中、その経営を支えているのも高速バスによる利益であるとして、「このターミナルを効率的に運営し、多くのお客様にご利用いただくことにより、日本のバス業界のさらなる発展に貢献できるよう努力をしたい」との抱負(ほうふ)も語りました。

式典会場は「バスターミナル東京八重洲 地下A」の車路上に設けられましたが、開業後、この場所は休むことなくバスが行き来することから、車路にたたずむことができたのはこの時が最初で最後であったといっても過言ではありません。
式典に合わせて、高知駅前観光、ウィラーエクスプレス、京成バスの高速バスもお目見えし、報道陣や関係者への車内見学などが行われました。

高知駅前観光は最新のハイデッカー高速バス、2026年式三菱ふそうエアロエース2WG-MS06GP「高知200か・365」を持ち込みました。
同社は高知県で最も古いバス事業者の一つですが、この車両は“FLATON”(フラットン)という愛称を持ち、高知駅と「バスターミナル東京八重洲」との間を結んでいます。

“FLATON”最大の特徴はバス専用新型フルフラットシート“Sommeil Profond”(ソメイユプロフォン)を採用していることです。
車内を見れば他の高速バスにはない、唯一無二(ゆいいつむに)の仕様であることは一目瞭然(いちもくりょうぜん)です。
“Sommeil Profond”はフランス語で「熟睡」を意味し、乗客が横になって寝ながら移動できる上下2段構造のフルフラットシートを24席装備しています。
バス乗務員側から見た「地下A」は?

式典の開催と合わせて、「バスターミナル東京八重洲 地下A」の報道公開も行われましたが、乗降バースや待機バース、車路、スロープなどは開業後、バスがひっきりなしに行き来するため、基本的に立ち入ることはできないことから、この機会にじっくりと紹介していきます。
まずは、バス乗務員側から見た「バスターミナル東京八重洲 地下A」を紹介します。
今回開業した「地下A」は7つある乗降バースのうち4つは、車路から歩道側に一段引っ込むバスベイ型となっています。
車路右側には待機バースがあり、路面標示が行われています。

天井部分には乗務員に向け、バスターミナル内の状況を分かりやすく示す在車表示器の液晶モニターを備え付けています。
左のモニターは乗降バースと待機バースの空き状況を示しており、赤にはすでに車両があり、緑には車両がないことを示しています。
右のモニターの数字「01」は、自車がどの乗降バースに止めるのかを示しています。

「バスターミナル東京八重洲 地下A」の施設概要を示す図です。
7つの乗降バースの配置は図のようになっており、A01からA07のバース番号が振られています。
A03とA04バースの上にある2つの白い枠が待機バースです。
車路はサーキット状になっており、青い矢印と文字で示された“OUT”と“IN”は地上へのアプローチをとスロープを示しています。

乗降バースのA03とA04の様子です。
車路と待合室は、ガラスをはめ込んだパーティションで完全に仕切っていますが、そのガラス部分には写真家が撮り下ろした日本の四季折々の風景のフィルムをダイナミックに貼り付けていることが大きな特徴です。

各乗降バースの天井にも、乗務員に状況を知らせる在車表示器の液晶モニターを備え付けています。
今回はデモンストレーションとして乗降バースのA04に止まっているウィラーエクスプレスの車両に対し、“STS”(Smart Terminal System)の操作盤を操作するような指示表示を行っています。

これがSTSの乗務員用の操作盤です。
天井に備え付けた液晶モニターと同様、各乗降バースに設けています。
STSは乗客への案内表示、構内放送、ダイヤ情報などのデータを連携させ、管制室から一元管理することで、サービスの質を保ちながら省力化と業務効率化ができるシステムです。
京王電鉄バスとモビリティ関連のテクノロジー企業Will Smart(ウィルスマート)が開発しました。
乗務員用の操作盤では、乗降口の自動ドア開放、案内放送、デジタルサイネージ表示などを連動して行うことができます。

カーブ部分のパーティションのガラス部分にも日本の四季折々の風景を写したフィルムを貼っていて、単調になりがちなバスターミナル内の光景に彩(いろど)りを与えています。

バスの地上出入口とバスターミナルを結ぶスロープです。
スロープはバスターミナル内にあるサーキット状の車路内側に設けており、車路へのアプローチは出入りで分かれているものの、出入りするバスはスロープ上では対面通行となります。

式典と報道公開を終え、ターミナルを後にするウィラーエクスプレスのハイデッカー高速バス、2023年式三菱ふそうエアロエース2TG-MS06GP「江東200か・144」です。
「バスターミナル東京八重洲 地下A」の天井高は4.1mあり、この車両よりも全高が高いスーパーハイデッカーバスや2階建てバスにも対応していることが特徴です。

建物の外側から見たスロープの出入口です。
八重洲通りに面した箇所に設けていますが、「バスターミナル東京八重洲 地下A」のバスの出入口はこの1カ所のみです。

「バスターミナル東京八重洲 地下A」の特徴としてさらに挙げられるのは、連節バスの発着にも対応していることです。
カーブ部分は一般的な大型高速バスの約1.5倍となる全長約18mの連節バスも走行可能となっています。
連節バスや2階建てバスなどの走行の軌跡(きせき)の確認が行われており、将来的な乗り入れ・発着にも備えています。
乗客側から見た「地下A」は?

つづいて、乗客側から見た「バスターミナル東京八重洲 地下A」を紹介します。
「バスターミナル東京八重洲」は段階的に整備されてきており、今回で第2期エリアまで完成したことになりますが、3つのエリア全体で整合の取れた案内サインを策定しています。
今回の「地下A」の開業に合わせ、すでに開業している「地下B」も含め、各エリアのバース番号であるナンバーサインを「エリア表記」と「番線」の組み合わせとしました。
そのことから、上掲写真のナンバーサインは、「地下A」の「3番線」を意味する「A03」という表記になります。

「バスターミナル東京八重洲 地下A」は、東京駅八重洲口の地下にあるヤエチカ(八重洲地下街)と接続しており、八重洲北口改札、八重洲中央口改札からも近く、非常にアクセスしやすくなっています。
ヤエチカとの接続部分とは北側と南側の2カ所あり、上掲写真は南側の接続部分ですが、手前は今回竣工した超高層複合ビル“TOFROM YAESU TOWER”のエレベーターホールになっています。

接続部分の通路には、バスの発車時刻、行先、便名・便番号、乗り場などの情報を映し出す大型のデジタルサイネージを備えています。
ここで利用するバスの情報をハッキリと確認することができます。

接続部分の通路を過ぎるといよいよエントランスが現れます。
エントランスには、躍動感あふれる四季の自然風景動画を投影する大型のガラススクリーンとデジタルサイネージがあります。
これは、海外の利用客にも日本の美しい四季を体験してもらい、「国際都市東京の玄関口」しての役割を果たしています。
このような空間演出で「何度でも訪れたいバスターミナル」を目指しているとのことです。

待合スペースには洗練されたデザインのイスを多数置いています。
車路と待合室の間を隔(へだ)てているパーティションのガラスには、待合室側にも日本の四季折々の風景を写したフィルムを貼っており、一見してバスターミナルとは分からない落ち着いた雰囲気となっています。

南北2つのエントランスの中間地点にはチケットカウンターがあり、いずれのエントランスからも利用しやすくなっています。
予約不要のバス便のチケットを販売する自動券売機も設けており、急ぎの利用の際のスムーズな購入が可能となっています。

チケットカウンター前の待合スペースの様子です。
先ほどの待合スペースのイスとは違うデザインのものとなっていますが、こちらも多く配置しています。
大型デジタルサイネージを備え付けており、インターネットでチケットを予約した乗客はすぐに発車時刻などを確認することができ、そのまま乗降バースへ向かえるため、ターミナル内の移動がより円滑になるとのことです。

乗降バースの誘導サインとデジタルサイネージは、限られた通路幅で視認性と開放性を両立するため、ナンバーサインを天井取り付けのサイネージ内に表示しているほか、乗降バースの自動ドアの両側の柱に大きく表記するなど、混雑時でもスムーズな人の流れとなるよう誘導を促(うなが)しています。

乗降バースのうち、おもに降車を中心に使用するA05からA07バースの前の壁面には、壁面誘導サインを採用しています。
これはバスを降車した後、パーティションの自動ドアを通ってすぐ正面に見える位置に表示してあり、出口方向や目的地をサインで示すことで、乗客を南北2つの出口へ直感的に振り分けるようにしています。
デザインについては、1965年頃のバス路線図をモチーフにしており、直線と丸で構成したグラフィックとなっています。

コインロッカーも充実しており、合計283個を設置しています。
スキー板やスノーボードを収められる特大サイズなどもあり、高速バスの乗客特有の荷物サイズに合わせた最適な配置を行っています。
地下バスターミナルから地上48階へ!

「バスターミナル東京八重洲 地下A」の紹介を終えたところで、最後にこのターミナルを設けている “TOFROM YAESU TOWER”を簡単に見ていきます。
“TOFROM YAESU TOWER”は、高さ約250mある超高層複合ビルで、東京建物が再開発組合の一員となり、権利者や地域とともに開発を進めたもので、全体のコンセプトは「つなぐ」です。
これは、時間の流れをつなぐ、さまざまな場をつなぐ、多様な人の流れをつなぐことを表しています。
八重洲1丁目は、もともと奥行きのある路地に料理屋や芸者屋などが軒を連ね、多様性によるにぎわいのあった街区で、その記憶を継承することを目指しています。
“TOFROM YAESU TOWER”の低層階は、再開発前の町割りにあった商業ビルをモチーフにして、ファサード(通りに面した壁面)に大小の壁面ブロックをランダムに貼り付けたような画一的ではない窓割となっています。
また、建物を貫くように路地をイメージした通路も設けており、これらの要素で八重洲1丁目らしさを表現しています。

「バスターミナル東京八重洲 地下A」の式典と報道公開の後、“TOFROM YAESU TOWER”のメディア向け内覧会が行われ、「地下A」からエレベーターで一気に地上48階のオフィスフロアへ案内されました。
オフィスフロアは柱を全て建物外周部に配置した構造で、フレキシブルな室内レイアウトが可能であるとのことです。
フロア面積は760坪以上、天井高は2.9mと非常に開放的で、自由度の高いオフィス空間となっています。

“TOFROM YAESU TOWER”48階からの北東の眺めです。
東京スカイツリーがはっきりと望めるほか、その右下には両国国技館も見え、関東平野が一望できるかのような光景が広がっています。

さらに視線を手前に移すと、中央に日本橋三越本店が見えるほか、近年の再開発で建設されたさまざまな超高層複合ビルを下に見ることができ、地上48階の高さを実感します。
また、ビル街の間を曲がりくねって左右に伸びる首都高速道路都心環状線は、再開発により日本橋エリアの約1.2kmを地下化する予定で、この高架はやがて見ることができなくなります。

地上48階からはこのように東京駅もミニチュアのようです。
赤レンガの丸の内口駅舎はもちろんのこと、その手前にある重層化構造の中央線快速のプラットホームや、さらに手前にある各新幹線のプラットホームも、普段は見ることがない角度から眺めることができ、上屋(うわや)の様子などがよく分かります。
東京都心のいたる所で進む大規模再開発。
今回紹介した「バスターミナル東京八重洲 地下A」と、その上に建つ“TOFROM YAESU TOWER”をはじめ、新しい時代に向け、今後バスターミナルや街がどのように変貌(へんぼう)していくのか、注目していきたいところです。
※ 写真・文 : バスギア ターミナル
※ 図版協力 : 独立行政法人都市再生機構、京王電鉄バス株式会社
※ 編集協力 : バスグラフィック編集部
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