狭い道でのすれ違いを避ける工夫!バス折り返し場にある「ヒモ」の謎
ヒモを引っ張ると何が起こる?
西武池袋線の清瀬駅は、西武バスの多数の路線が発着するターミナル。南口と北口の両方にバス乗り場がありますが、南口の駅前ロータリーは狭いため、バスの折り返し場はやや離れた場所に設けられています。この折り返し場と駅前のバス乗り場を結ぶ道路は、距離こそ短いものの道幅が狭く、歩行者や自転車の通行も多いため、バス同士のすれ違いは困難です。
そこで使われるのが、折り返し場にぶら下がっている謎の「ヒモ」です。折り返し場から駅前に向かうバスの運転手は、運転席横の窓を開けてこのヒモを引っ張ってから出発します。折り返し場に謎のヒモが何本もぶら下がっている様子はちょっとシュールでもありますが、はたしてこのヒモを引っ張ると何が起こるのでしょうか?
秘密は「黄色い回転灯」だった!
このヒモ、実は折り返し場と駅前を結ぶ道路の数カ所に設置された黄色い回転灯を点灯させるためのスイッチだったのです。回転灯は、両側から同時にバスが来ることがないようにするための合図。つまり、信号の役割を果たしています。駅前から折り返し場に向かうバスの運転手は、この回転灯が点灯することによって反対側からバスが来ることがわかるため、すれ違いを回避できるという仕組みです。
シンプルながらわかりやすい仕組みで、狭い道でのバス同士のすれ違いを回避しているこの回転灯。いつから設置されているかは定かではないそうですが、1980年代の初頭にはすでに使われていたようだといいます。この仕組みが生まれる前は、ホーンを鳴らしてバスの接近を知らせていたそうです。
鉄道の「単線」のように、信号代わりの回転灯でバスの行き来をうまくコントロールしているこの仕組み。地域に密着した路線バスならではのユニークな工夫といえそうです。仕事としてのバスの魅力の1つは、地域に根差した企業であること。バスギアを通じて、人々の足を支えるバス運転手への夢をかなえて下さい。
(文・編集:小佐野カゲトシ / 写真:伊藤岳志)
※本記事は2017年9月30日発刊の『バスグラフィック』Vol.32の掲載内容を再編集したものです。この記事をシェアしよう!
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