港ヨコハマの新シンボル、連節バス「ベイサイドブルー」登場!(2)
国産連節バスの営業運転第1号
国産連節バスの営業運転は「ベイサイドブルー」が全国第1号です。連節バス自体はすでに国内各地で走っていますが、これらはドイツのダイムラー社など海外メーカー製の車両でした。
「ベイサイドブルー」の日野ブルーリボン ハイブリッド連節バスは、日野自動車といすゞ自動車が共同開発。同車種の導入は競争入札により決まりました。横浜市交通局は国産車のメリットについて「日本での走行や保安条件に適した車両で、メンテナンスなども速やかに対応していただける」点を挙げています。導入費用は4台で約4億円です。
運行までには西鉄のアドバイスも!
「ベイサイドブルー」の運行を担当するのは、横浜市交通局の滝頭(たきがしら)営業所。4台の車両と乗務員はすべて同営業所の所属で、これは連節バスのメンテナンスにも対応できるリフトが所内の整備工場にあるためです。運転を担当する乗務員は22人の選抜メンバーで、交通局によると運転を希望する乗務員を募集したうえで同営業所に配属しました。運転に必要な免許は一般のバスと同じ大型自動車第二種免許です。
22人の乗務員はバスが納車された2月以降、営業所内や山下ふ頭などでの研修のほか、営業ルートで走行訓練を実施。横浜市交通局の担当者は「連節バスということで、急旋回などさまざまな訓練をした」と話します。連節バスならではの運転ノウハウについては、運行経験が豊富な福岡県の西鉄グループの研修を見学するなどしてアドバイスを受けたとのことです。
なぜ連節バスを導入?
横浜ベイエリアの新たなシンボルとして期待を集める「ベイサイドブルー」。導入の狙いについて、横浜市都市整備局都市交通部の橋詰勝彦・都市交通課長は「水際線の周辺にさまざまな施設が立地する計画があり、アクセスが課題となっていたため、シンボル性の高いベイサイドブルーの導入を図った」といいます。
臨海部に連節バスを導入しようという具体的な検討が始まったのは2016年の春。背景には、横浜市が前年の2015年2月に策定した臨海部の将来構想「横浜市都心臨海部再生マスタープラン」がありました。
同プランは2050年の将来像として「世界が注目し、横浜が目的地となる新しい都心」となることを掲げ、具体的な施策の1つとして「まちを楽しむ多彩な交通の充実」を挙げています。なかでも海沿いの「水際線(すいさいせん)」沿いは、山下ふ頭の再開発やMICE(国際会議やコンベンションなど)施設の整備などが予定されることから、今後交通需要が増えると考えられました。
そこで検討されたのが、街のシンボルともなる連節バスを使った「高度化バスシステム」の導入でした。「ベイサイドブルー」の名称やルートは2018年の秋に決定。車両は翌2019年春に行った入札により、日野ブルーリボン ハイブリッド連節バスの導入が決まりました。
当初、運行開始は2020年6月の予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発出などを受け、日程を延期。宣言解除後の6月下旬、運行開始日を7月23日と発表しました。
街のシンボルとして高い期待
ついに運行が始まった「ベイサイドブルー」。横浜市交通局は運行開始に合わせ、観光スポット周遊バス「あかいくつ」などの路線再編も実施しました。「ベイサイドブルー」を軸に乗り継ぎを容易にすることで、臨海部の回遊性を高める狙いがあります。
また、横浜市中心部では同時に、鉄道やバス、タクシー、レンタサイクルなどさまざまな交通手段の検索や予約、決済を一括でできるスマートフォンアプリ「my route(マイルート)」のサービスがスタート。同アプリで、ベイエリアのバスや地下鉄などが利用できる1日乗車券「みなとぶらりチケット」も購入できます。
今後の運行ルート拡張なども期待されますが、横浜市の担当者は「まずはこの路線でどれだけ乗っていただけるかを見極めていきたい」と話します。いずれにせよ、横浜の都心臨海部の回遊性は「ベイサイドブルー」の登場でさらに向上したといえるでしょう。
横浜臨海部の新たな足として、そして国産連節バス初の営業運転として注目を集める「ベイサイドブルー」。一度に多くの乗客を運べる連節バスは、今後国内各地で運行が広がっていきそうです。バス乗務員を目指す人なら、運転の様子も要チェックです。
(文・編集:小佐野カゲトシ / 写真:『バスグラフィック』編集部)
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