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車内の空気、何分で入れ替わる? バスの「コロナ対策」はこうなっている

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緊急事態宣言の解除後も、感染の拡大が続く新型コロナウイルス。感染防止のために「密」を避けることが求められる中、多くの乗客が利用する交通機関であるバスもさまざまな対策を講じています。バス会社や業界団体、バスメーカーが打ち出している車内の感染防止対策はどんなものがあるでしょうか。今回はおもに「車内の換気」など、バスのハード面を中心に見てみましょう。

バス業界のガイドラインはどうなっている?

新型コロナウイルス対策については、さまざまな業界が感染予防のガイドラインを策定しています。バス事業者の業界団体である公益社団法人日本バス協会も「バスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を公表しています。

同ガイドラインは、乗務員の健康管理や事務所内の勤務体制、そして運行中の対策などをまとめています。バスの車両そのものにかかわってくる運行中の対策については、
● 乗務員は、運行中はマスクの着用を徹底する
● エアコンによる外気導入や窓開け等の車内換気を行うとともに、車内換気を行っていることを表示する等により、乗客が安心して利用することができるように配慮する
● 乗客の降車後に、窓を開けて換気する等の車内換気に努める
● 利用状況を踏まえ、バス車内の一部の座席の使用を禁止することや続行便を運行すること等により、乗客と乗務員や乗客同士の間隔を空け、乗客と乗務員が安心できる車内環境を確保するよう努める
などの数項目を挙げています。

すっかり定着「窓開け」と「運転席のビニールカーテン」

車内換気のための窓開けや、運転席の後ろなど一部の座席を使用禁止にする例は、いまや全国のバス車内で当たり前となりました。運転席付近をビニールカーテンなどで仕切る対策も、4月頃から全国のバス事業者に広まっています。例えば東京都交通局(都営バス)は、4月中旬から全車両約1,500台に取り付けを開始。現在までに全車両への設置を終えています。仕切りカーテンの設置は国土交通省の補助対象にもなっています。

バスを製造するメーカー各社からは、仕切りカーテンの設置や雨が降っている際の窓開けに対応した製品も登場しています。日野自動車といすゞ自動車は運転席の飛沫感染対策商品として、難燃性の部品を使用して安全性に配慮するとともに、バタつきを防ぐマグネットなどの工夫を施した仕切りカーテンの取り付けキットを発売。三菱ふそうトラック・バスは7月末、雨天でも窓を開けて換気ができる部品「ウィンドバイザー」を発表しました。引き違い窓の前端と後端に取り付けることで、雨の吹き込みを防ぎながら車内換気ができるといいます。

バス車内の空気は何分で入れ替わる?

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐうえで重要とされるのが「換気」です。酷暑の中、冷房が欠かせない車内の空気がどの程度で入れ替わるのか気になるところですが、データによるとバス車内の換気能力は一般に思われている以上に高いようです。

国土交通省が自動車メーカーの協力を得てまとめたデータによると、路線バス車内の空気が入れ替わるのに必要な時間は、換気用のファンを使用し一部の窓を開けるなどした場合、全ての車種で約3分。これは日野、いすゞ、三菱ふそうの3社が製造する大型車・中型車・小型車について、現行モデルと一世代前のモデルを対象として算出したデータです。

観光バスタイプの車両も、窓を閉めた状態で空調装置を外気導入モードで使用すれば、日野、いすゞ、三菱ふそうの現行モデルはいずれも約5分で換気されます。窓を開ければさらに換気能力は高まると考えられます。

路線バスタイプの車両は空調装置に外気導入モードがないのが一般的ですが、窓開けに加えて「乗降時のドアの開閉でも換気は確保されている」(三菱ふそうトラック・バスのウェブサイトより)ため、観光バスよりも車内換気に要する時間は短めです。

メーカー各社が窓開けや空調装置の外気導入モード使用とともに推奨しているのが「デフロスター」による外気の取り入れです。乗用車でもおなじみの、除湿した空気を吹き付けて窓ガラスの曇りを防ぐ機能ですが、これを外気導入モードにすることで換気の効果が高まるといいます。

実際に、車内に煙を充満させて何分で換気できるかのテストも行われています。奈良県バス協会が観光バスを使って実施したテストでは、開始時には白い煙でほとんど何も見えなかった車内が、約3分30秒後にはほぼ煙が消えた状態に。4分で煙は完全に消えてしまいました。国土交通省のデータよりも換気時間が短かったことになります。

●利用する側もよく知って対策を

国内で新型コロナウイルスの感染が広がり始めたころ、訪日観光客向けのツアーバス乗務員などの感染例が報告されたことから、「感染リスクが高いのでは」というイメージを持たれがちなバスなどの公共交通。しかし、実際のところこれまで「車内がクラスターになった」といった事例は報告されていません。

ある業界関係者は「換気がしっかりしていれば、リスクは一般に思われているより相当低いのでは」と話します。利用者側もマスクの着用や手洗い・消毒などを心がけることで、感染リスクは大幅に抑えられるでしょう。

最近は、バス事業者が車内に抗菌・抗ウイルス加工などを施す例も増えてきています。全国各地のバス会社で進む対策については次回にご紹介しましょう。

(文・編集:小佐野カゲトシ / 写真(特記以外):『バスグラフィック』編集部)

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