国産新型ハイブリッド連節バスと燃料電池バスなどで運行、ついに開業した東京BRT!
アクセスが不便な臨海部への新たな交通機関
東京BRTは、急速に開発が進む一方で、鉄道路線へのアクセスが不便な晴海や勝どきなどの臨海部と都心部を結ぶ新たな交通機関として、2014年8月に東京都が発表した整備計画にもとづき生まれました。同計画はBRT(Bus Rapid Transit:バス高速輸送システム)の導入を念頭としており、翌年春には運行ルート案などをまとめた基本計画を策定。その後、公募により運行事業者には京成バスが選ばれ、同社の100%出資で新事業者「東京BRT」を設立。今回のプレ運行開始に至っています。BRTは連節バス、公共車両優先システム、バスレーンなどを組み合わせ、速達性・定時性の確保や輸送能力の増大が可能となるような高い機能を備えたバスの輸送形態です。我が国では各地で様々な導入事例がありますが、近年では連節バスを使用して運行を開始するケースが増えて来ています。
運行は虎ノ門ヒルズ~晴海BRTターミナルから
東京BRTの本格運行は都道環状2号線の本線トンネルが開通する2022年度以降に予定されており、それまではプレ運行が行われます。プレ運行は「東京2020大会」を境にして1次と2次に分かれており、今回始まったプレ運行の1次は、虎ノ門ヒルズと晴海BRTターミナルを結ぶ約5kmの1路線のみで、起点から終点まで約30分で運行することが見込まれています。この路線の途中のバス停は「新橋」と「勝どきBRT」です。
「東京2020大会」終了後はプレ運行の2次に移行し、虎ノ門ヒルズ~豊洲市場前の「晴海・豊洲ルート」、虎ノ門ヒルズ~東京テレポートの「幹線ルート」、新橋~勝どきBRTの「勝どきルート」の3路線の開設が予定されています。そして、2022年度以降に都道環状2号線の本線トンネルが開通してから、本格運行が開始される予定です。本格運行では、選手村跡地に整備されるマンションと新橋駅を結ぶルートなどが開設される予定で、東京駅や銀座への延伸、東京クルーズターミナルや東京ビッグサイトへの乗り入れなども考えられていますが、具体的なことについてはこれからの模様です。なお、プレ運行開始後、当面の間の運行は京成バスが行い、本格運行時には東京BRTが引き継ぐことになっています。
最新鋭の連節バスや燃料電池バスで運行
東京BRTの運行を担うのは全て新車で導入された9台の車両で、その陣容は国産新型連節ハイブリッドバス1台、燃料電池バス5台、ロングボディの大型路線バス3台となっています。連節バスとは2つの車体をホロでつないだ構造の長大バスのことで、東京BRTに導入されたのは1台のみと象徴的な存在ですが、国産新型連節ハイブリッドバスの導入は横浜市営バスに次いで我が国導入2例目となりました。燃料電池バスとは水素をエネルギー源にして発電し、モーターで走行するバスのことで、環境負荷物質を排出せず、従来のディーゼルエンジンを搭載したバスと同様の運行ができるため、ここ1~2年で導入事業者が増えて来ています。東京BRTに導入された燃料電池バスは5台で、これは東京都交通局(都営バス)に次ぐ台数となっています。
東京BRTでは交差点などで青信号の時間を延長し、BRT車両の通過を優先させる「公共交通優先システム」を導入する予定で、定時性と速達性が図られるほか、燃料電池バスの1台はバス停に車両をぴったり横付けして停める「自動正着制御」の実証実験車となっています。今回のプレ運行においてこの「自動正着制御」の実証実験は晴海BRTターミナルのみで行われる予定で、同所の路面には緑色の2本の点線が引かれています。これを当該車両のフロントガラス内側に備え付けたカメラが検知して自動でハンドル操作を行いながら減速し、バス停の前にピタリと付けて停車します。
なお、今回の東京BRTプレ運行開始時の全車両の詳細は以下のとおりです。
【連節バス】いすゞエルガデュオLX525Z1
●社番1009 江東210あ1001 2020年5月28日登録(いすゞエルガデュオ初号車)
【燃料電池バス】トヨタSORA ZBC-MUM1NAE
●社番1001 足立231い1001 2020年3月11日登録(自動正着制御実証実験車)
●社番1002 足立230こ1002 2020年4月3日登録
●社番1003 足立230き1003 2020年4月3日登録
●社番1004 足立230き1004 2020年4月3日登録
●社番1005 足立230え1005 2020年4月3日登録
【大型路線バス】いすゞエルガ2PG-LV290Q3
●社番1006 足立230え1006 2020年3月26日登録
●社番1007 江東210あ1007 2020年7月1日登録
●社番1008 江東210あ1008 2020年7月1日登録
(文・ 写真:『バスグラフィック』編集部)
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