優良バス会社が集結!バス会社への就職を加速させる合同企業説明会『バスギアエキスポ』 優良バス会社が集結!バス会社への就職を加速させる合同企業説明会『バスギアエキスポ』 優良バス会社が集結!バス会社への就職を加速させる合同企業説明会『バスギアエキスポ』

神姫(しんき)バスの国産新型ハイブリッド連節バスと燃料電池バス(前編)

このエントリーをはてなブックマークに追加
兵庫県姫路市を拠点とし、路線バス、高速バス、空港リムジンバス、観光バスを運行している神姫バスでは、2021年4月1から神戸市内で国産新型ハイブリッド連節バスの運行と、姫路市内で燃料電池バスの運行を始めました。 今回は前編で国産新型ハイブリッド連節バス、後編で燃料電池バスを紹介します。

神姫バス2例目の連節バス運行路線

神姫バスでは2013年から兵庫県三田(さんだ)市を中心とした路線で、「オレンジアロー 連 SANDA」という愛称が付けられたメルセデス・ベンツ・シターロG O530連節バスを運行していますが、2021年4月から新たに神戸市と共同で国産新型ハイブリッド連節バスの運行を開始しました。国産新型ハイブリッド連節バスは、神戸都心部の三宮(さんのみや)駅とウォーターフロントエリア(臨海部)の間の回遊性向上や都市の魅力向上を目的に開設した新たな循環路線用として導入されました。3月20日と21日の2日間にプレ運行を行った後、4月1日から本格営業運行を開始しています。運行ルートは三宮駅前をウォーターフロントエリアに向けて出発し、KIITO前、新港町、ポートタワー前を経てハーバーランドに至った後、都心方向へ向かい、ポートタワー前、新港町、ポートオアシス前を経てから再び三宮駅前へと戻る格好になります。

車両のデザインコンセプトと愛称の決定

新たな循環路線を開設するにあたって、神戸市、神姫バス、デザイン会社を中心にして分かりやすさや、使いやすさ、快適性に加えて、みなとまち神戸のシンボルとして 新たな魅力を与えることを目指して、“ PORT BLUE ”(ポート・ブルー)というトータルデザインコンセプトを作成しました。

トータルデザインコンセプトを軸に車両やバス停などのデザインを一体的に検討しましたが、車両のデザインコンセプトについては、次の5つの項目を挙げています。
・「神戸らしい進取の気風」を感じる新しい乗り物感
・永続性の高い、シンプルで美しいスタイリング
・駅前からウォーターフロントへ向かう、期待感
・新しい風景、夜景の創出
・安心感と安全性の向上

これらをふまえ、GK設計グループがデザインを手掛けました。また、トータルデザインコンセプトにもとづき、愛称について3つの原案が用意され、2020年12月8日から20日までの間インターネットでアンケート形式の投票が行われて、“ Port Loop ”(ポートループ)という愛称が決まりました。

4台出そろった “ Port Loop ” 用連節バス

“ Port Loop ” で運行される国産新型ハイブリッド連節バスは、神戸営業所に合計4台が導入されました。

4台とも日野ブルーリボン ハイブリッド連節バスKX525Z1で、全長17.99m、全幅2.49m、全高3.26mとなり、乗車定員は112人です。

“ Port Loop ” は環境省の「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(公共交通機関の低炭素化と利用促進に向けた設備整備事業)低炭素化に向けたLRT・BRT導入利用促進事業」による車両導入を行っているため、二酸化炭素排出が少ないモーターとディーゼルエンジンで走行するハイブリッド車の日野ブルーリボン ハイブリッド連節バスKX525Z1が選択されました。

車両デザインコンセプトにもとづいての内外装の仕上げは、バスの改造や整備などを行う二次架装メーカー・東急テクノシステムが行っています。車体は “ PORT BLUE ” をベースにブラックとホワイトを効果的に配した洗練されたカラーリングデザインとなっており、連節部のホロにも車体と連続するように “ PORT BLUE ” のラインとホワイトの塗り分けが施されていることも特徴です。エンジンは最高出力360ps、8,866ccのインタークーラーターボ付き直列6気筒ディーゼルエンジンA09C型、モーターは最高出力90Kwの交流同期モーターを搭載しており、ジェイアールバス関東や横浜市交通局(横浜市営バス)に導入されている同型と変わりません。

みなとまち神戸を象徴するおしゃれな車内

車内を前車体前方から後車体後方へと眺めると、後車体の後扉付近まで長いノンステップエリアとなっていることが分かります。座席は基本的に前向き座席で構成されており、タイヤハウス(タイヤの収納部分)上にあるものは一部が後ろ向き座席となりますが、横向き座席はありません。

前車体運転席側の後前輪タイヤハウス上にも後ろ向き座席がありますが、ホロとの境には後車体の乗客に向けての車内案内表示器のモニターが装備されていることが特徴です。

運転席側の前輪タイヤハウス直後にある4つの1人掛け座席ははね上げ式となっており、はね上げると2台分の車イススペースとなります。

中扉前の床面には反転式スロープがありますが、後扉前にはありません。

後車体のホロ直後の運転席側座席2脚は、導入事業者によって1人掛けか2人掛けかの違いがありますが、“ Port Loop ” は2人掛けで、最後部座席は3人掛けとなっています。

床上張りは木目調、つり手も振れ留め部分に木目調のアクセントが入ったもので、手スリの色はアイボリー、座席モケットはタータン柄と、みなとまち神戸らしく瀟洒(しょうしゃ)な雰囲気を醸(かも)し出しています。

後車体の最後部座席手前の座席とその前の座席は向かい合わせの関係になりますが、側窓には飲料のペットボトルや缶が置けるくぼみを付けた小さなテーブルが備え付けられています。

運転席廻りは基本的に標準仕様で、変速機は7速AMT(Automated Manual Transmission:自動変速マニュアルトランスミッション)となります。

スイッチボックス脇と運転席直後の仕切り、後車体最前部のピラー(窓柱)にはEDSS(Emergency Driving Stop System:ドライバー異常時対応システム)の非常ボタンが備え付けられており、安全対策も徹底しています。

※ 取材協力:神姫バス株式会社
※ 文・写真 : バスグラフィック編集部(宇佐美健太郎)
※ 写真協力 : 鈴木重幸
※ 本項に掲載の車両写真は記事掲載を条件に事業者の特別な許可を得て撮影したものです。掲載車両の営業所・車庫内での撮影要望や運行状況などのお問い合わせを事業者へ行わないようお願い申し上げます。

この記事をシェアしよう!

このエントリーをはてなブックマークに追加
  • FaceBookのフォローは2018年2月で廃止となりました。
    フォローの代わりにぜひ「いいね!」をご活用下さい。