東京BRTの車両(後編:燃料電池バスとディーゼルバス)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2020年10月2日公開の「バスギアターミナル」の記事にて、東京BRTの開業を伝えましたが、現在、虎ノ門ヒルズ~晴海BRTターミナルの「プレ運行(一次)」を行っています。
BRTは “ Bus Rapid Transit ” (バス高速輸送システム)の略ですが、東京BRTは、急速に開発が進む一方で、鉄道路線へのアクセスが不便な晴海や勝どきなどの臨海部と都心部を結ぶ新たな交通機関として注目され、連節バス、燃料電池バス、ディーゼルバスが導入されて活躍しています。
今回は東京BRTで活躍中の車両を前編と後編に分けて取り上げますが、後編では燃料電池バスとディーゼルバスを紹介します。

燃料電池バスは東京BRTもう一つの顔

東京BRTでは連節バスとともに燃料電池バスであるトヨタSORA(ソラ)が5台活躍しています。
燃料電池バスとは水素をエネルギー源にして発電し、モーターで走行するバスのことで、環境負荷物質を排出せず、従来のディーゼルエンジンを搭載したバスと同様の運行ができるため、ここ1~2年で導入事業者が増えて来ています。

東京BRTに導入された燃料電池バスは東京都交通局(都営バス)に次ぐ台数です。
燃料電池バス導入の理由は、国・東京都の推進する水素社会の実現に向け、東京都都市整備局と京成バスで2016年4月に策定した「都心と臨海副都心とを結ぶBRTに関する事業計画」にもとづき、燃料電池バスを導入することとしたためです。

東京BRTの燃料電池バスは連節バスと同じレインボーカラーをまとっています。
トヨタSORAは側面を中心に車体の大部分がブラックアウトされるデザインが特徴で、導入事業者のカラーリングデザインが施せる部分に限りがありますが、東京BRTに導入された車両は他の事業者に導入されたトヨタSORAとブラックアウトの塗り分け方が大きく異なっており、レインボーカラーを施した部分の割合が広くなっています。

また、連節バスと同様、行先表示器はフルカラーLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)による電光表示で、行先・系統番号を和文と英文で大きく表示した後、発車時刻と行先・系統番号を併記した表示を繰り返すパターンとなっています。

前扉は包み込むように開閉するグライドスライドドア、中扉はアウタースライドドアで、車イスなどがスムーズに乗降できる反転式スロープを備えています。
全長10.52m、全幅2.49m、全高3.35mで、乗車定員77人となります。

後面リッド(フタ)内にはインバーターやコンバーターなどの電装品を装備しており、最高出力112kW/152psのモーター2基を搭載しています。車検証上の原動機の型式は4JM-4JMです。

座席モケットや床上張りが東京BRTオリジナル!

車内に目を転じると、前中扉間ノンステップで、中扉以降が段上げ構造となり、運転席側の前輪タイヤハウス(タイヤの収納部分)直後が「自動格納機能付き横向き座席」であるほかは前向き座席です。

車内の座席レイアウト、座席の形状は、これまでトヨタSORAが導入されてきた各地の事業者の車両と基本的には同じですが、モケットの色柄が東京BRTオリジナルで紺色となり、シートバック上方に “ TOKYO BRT ” の文字が入れられています。
最後部座席は5人掛けになります。

車両の床上張りは連節バス同様、木目調となっていますが、車イススペースになる「自動格納機能付き横向き座席」部分は周囲より濃い色味の木目調となっています。
つり手も振れ留め部分に木目調のアクセントが入ったもので、連節バスと同じ仕様です。

各座席の側窓下にはスマートフォンやモバイル機器の充電を行うことのできる100V給電可能なコンセントが設けられており、前方と中扉付近の天井には液晶ワイドモニターが設けられ、運賃や次停車停留所名などが表示されることは、他事業者に導入されたトヨタSORAと同じです。

運転席は未来感あふれるデザインで、ステアリングホイール(ハンドル)左側には車内外に8基設置された高精細カメラ画像を映し出す、視界支援カメラシステムの縦長モニターを備えています。

安全装備も徹底しており、メーターパネル右脇のスイッチ操作盤と運転席直後の仕切りにはEDSS(Emergency Driving Stop System:ドライバー異常時対応システム)の非常ボタンがあります。

プレ運行中のみ活躍するディーゼルバス

東京BRTには現在、ディーゼルエンジンを搭載した一般的な大型ノンステップ路線バス3台も活躍しています。
いずれも車種・型式は同じで、いすゞエルガ2PG-LV290Q3となります。

もともと東京BRTは本格運行時に連節バスと燃料電池バスのみが充当される予定ですが、プレ運行期間中は、燃料電池バスが出そろうまでの間、暫定的にディーゼルバスが充当されています。

外観のカラーリングデザインは、連節バス、燃料電池バスと同じレインボーカラーをまとい、フルカラーLEDによる電光表示式の行先表示を備え、行先・系統番号を和文と英文で大きく表示した後、発車時刻と行先・系統番号を併記した表示を繰り返すパターンとなっています。

前中扉構造で、前扉は折戸、中扉は引戸となっており、中扉には反転式スロープを装備しています。
全長11.13m、全幅2.48m、全高3.04mで、乗車定員86人となります。

後面リッド内には、最高出力240ps、総排気量5,193ccのインタークーラーターボ付き直列4気筒ディーゼルエンジン4HK1-TCH型を搭載しています。

車内に目を転じると、前中扉間ノンステップで、中扉以降は段上げ構造となり、全て前向き座席で構成されています。

最後部座席は5人掛けです。
座席モケットの色柄は連節バスや燃料電池バス同じで紺色となり、シートバック上方に“ TOKYO BRT ” の文字が入れられています。

同様に、車両の床上張りは木目調となっており、運転席側前輪タイヤハウス直後にある4脚の1人掛けはね上げ式座席部分のみ、周囲より濃い色味の木目調となっています。
これら4脚の座席を全てはね上げると車イス2台分のスペースとなります。

運転席は視認性に優れた構造で変速機は6速AT。
ステアリングホイールの付け根部分と運転席直後の仕切りにはEDSSの非常ボタンがあり、安全装備も充実しています。

連節バスと燃料電池バスの乗務員訓練・習熟は?

最後に今回、事業者に国産新型ハイブリッド連節バス、燃料電池バスの乗務員訓練・習熟はどのようなことにポイントを置いて行われたか尋ねてみました。
連節バスは全長約18mと一般的な大型路線バスと比較して約1.5倍の長さがありますが、操作性として、前進の場合は一般的な大型路線バスと大きく変わりません。
しかし、後退の時は独特な運転操作が必要となるため、プレ運行が始まるかなり以前から運転訓練・習熟が必要と考えたとのことで、国産新型ハイブリッド連節バスが納車されるまで、京成バス新都心営業所に所属するメルセデス・ベンツ・シターロG連節バスを使った訓練・習熟が行われました。
国産新型ハイブリッド連節バスが納車されてからは、プレ運行をするルートを実際に走行して十分に訓練を行いました。
また、燃料電池バスについても、一般的な大型ディーゼルバスと操作性が異なるため、プレ運行をするルートを実際に走行し、燃料電池バスの特性を理解し十分な習熟訓練を行いました。
2021年7月31日現在、東京BRTで活躍する車両一覧を以下に掲載し、結びといたします。

※ 取材協力 : 京成バス株式会社、東京BRT株式会社
※ 文・写真 : バスグラフィック編集部(宇佐美健太郎)
※ 本項に掲載の車両写真は記事掲載を条件に事業者の特別な許可を得て撮影したものです。掲載車両の営業所・車庫内での撮影要望や運行状況などのお問い合わせを事業者へ行わないようお願い申し上げます。

この記事をシェアしよう!

このエントリーをはてなブックマークに追加
  • FaceBookのフォローは2018年2月で廃止となりました。
    フォローの代わりにぜひ「いいね!」をご活用下さい。