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この夏引退したジェイアールバス関東 唯一無二の高速バス[前編]

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新型コロナウイルス感染症拡大により社会状況が一変し、コロナ禍の中で迎えた2年目の夏も終わりましたが、みなさまはこの夏をどのように過ごされたでしょうか。
ひと夏を越すともう会えなくなったものがある……という経験をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、今回は約20年間の活躍を終え、この夏去って行ったジェイアールバス関東の大型高速バスを前編と後編の2回に分けて紹介します。

この夏去って行った1台の大型高速バス

群馬県吾妻(あがつま)郡長野原町(ながのはらまち)にあるジェイアールバス関東の長野原支店には、同社で1台しか導入されなかったタイプの大型高速バスが8月15日まで活躍していました。
同社の固有番号である車両称号はH658-01415、登録ナンバーは「群馬200か1288」で、西日本車体工業製のハイデッカーボディS型を架装した日産ディーゼル・スペースアローRA KL-RA552RBNです。

2021年現在の目から見ると角張った印象を受けるボディデザインが、1980年代後半のバスを彷彿(ほうふつ)とさせ、どこか懐かしい気もしますが、初度登録は2002年3月25日で、約20年前に導入された車両となります。
長野原支店での活躍末期には、草津温泉への鉄道連絡便や一般路線と貸切の共通予備として運行されていました。

「西工」(にしこう)とは?

この車両のボディは、通称「西工」と呼ばれる、西日本車体工業製です。
実務者やバス愛好家間では、言わずもがなのことですが、西工は西日本鉄道(西鉄)グループのバスボディメーカーで、1946年から2010年までの長きにわたって操業していました。1990年代後半頃までは、西日本の事業者の車両への架装が大半で、東日本の事業者の車両への架装はほとんど見られなかった印象でしたが、1995年に路線バスの低床化を推進していた当時の京王帝都電鉄(現・京王電鉄バスグループ)が、中型ロングワンステップ路線バスを大量導入して以降は状況が変わり始めました。
2003年には、西工同様に1946年からバスボディの製造・架装をしていた富士重工業(現・スバル)が、バスボディの製造・架装事業から撤退。
日産ディーゼル工業(現・UDトラックス)は、指定架装メーカーだった富士重工業製バスボディが架装できなくなることを見すえ、2002年から西工製バスボディを選択するようになり、2000年代中頃からは東日本の事業者でも西工製バスボディは特別な存在ではなくなりました。
ジェイアールバス関東でも、1990年代後半から西工製ボディを架装した大型高速バスを本格的に導入し始めています。

ジェイアールバス関東、唯一無二の存在

西工製ボディを架装したジェイアールバス関東の大型高速バスは、全て日産ディーゼル工業のスーパーハイデッカー車やハイデッカー車となりますが、今回取り上げている車両称号H658-01415を除き、その他はフロントウィンドウが上方に大きく湾曲し、丸みを帯びた印象を持つフロントデザインの西工92MCおよびその改良型の西工02MCボディを採用しています。
一方、車両称号H658-01415は、全体的に角張った印象を持つデザインの西工58MCで、その中でも高速・長距離バス用ハイデッカーボディのS型を採用しています。
なぜ、この角張ったデザインのボディを採用したのか、ジェイアールバス関東に尋ねたところ、車両の定期的な老朽代替を行っている中、車両導入コスト削減の要求に対するメーカーから提案されたのがこのタイプであり、試験的に導入したものだったと教えてくれました。

支店を二転三転、流転の人生

角張った印象を持つデザインが、ジェイアールバス関東の中では唯一無二の存在だった車両称号H658-01415ですが、2002年3月の初度登録から2021年8月の除籍まで、実に7回も所属支店の転属を行っています。
人にたとえるなら転勤族であり、東京都心から北関東、房総エリアなど、ジェイアールバス関東の各支店を数年おきに転属していることが大きな特徴です。
同社に分かる限りの転属歴を聞き、以下の一覧表にまとめました。

転属を繰り返しながらも、時を経て同じ支店に再度所属しているケースもあり、興味は尽きませんが、2002年3月の初度登録で導入された支店と、2021年8月に最後の活躍を終えた支店が両方とも長野原営業所であったことは、同支店とこの車両の間の縁を感じます。

高速バスとして活躍中の水戸支店では東京都と茨城県を結ぶ「みと号」、館山支店では東京都と千葉県を結ぶ「なのはな号」、東京支店では河口湖線ほか共通予備として運用されるなど、様々な路線や便で走り続けてきました。

後編ではよりいっそう車両にクローズアップします。

※ 取材協力 : ジェイアールバス関東株式会社
※ 写真(特記以外) : 伊藤岳志
※ 文 : バスグラフィック編集部(宇佐美健太郎)
※ 本項に掲載の車両写真は記事掲載を条件に事業者の特別な許可を得て撮影したものです。掲載車両の営業所・車庫内での撮影要望や運行状況などのお問い合わせを事業者へ行わないようお願い申し上げます。

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