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名物はホルモンラーメン!
「バスラーメン かわしま」を訪れる[ 後編 ]

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「バスギア ターミナル」WEBコンテンツや『バスグラフィック』誌面でもおなじみ、プロカメラマンの伊藤岳志(いとう・たけし)氏。鉄道カメラマンであることから、全国各地で取材を行っていますが、このほど岩手県での取材中に、昭和50年代を思い起こさせるようなモノコック構造のボディを持つ中型自家用バスベースのラーメン店「バスラーメン かわしま」を訪れました。引退したバスの車体を再利用したラーメン店は、「バスラーメン」という店名や愛称などで親しまれ、昭和50年代には各地で見られましたが、令和の時代の現在は、存在自体が珍しくなりました。そのような中、この岩手県のバスラーメンは知る人ぞ知る存在。一体どのようなラーメン店なのでしょうか。後編の今回は「バスラーメン かわしま」の来歴を中心に紹介します。(バスグラフィック編集部)

精肉センターが経営

バスの車体が店舗という、インパクトの強いラーメン店「かわしま」。そのため、地元釜石(かまいし)でも「バスラーメンかわしま」と呼ぶほうが通りが良いそうです。
「バスラーメンかわしま」は、実は精肉を販売する川嶋精肉センターという会社が母体であり、ご主人の川嶋昭司(かわしま・あきし)さんは、この会社の社長でもあるそうです。
ホルモンラーメンや焼き肉ラーメンなど、他の釜石ラーメンとは一線を画すメニューを前面に押し出しているのもちょっとうなずけます。

移動販売車としては2代目

創業は1971(昭和46)年で、当初は市内の精肉店でしたが、1978(昭和53)年に法人化。そして1983(昭和58)年から移動販売車によるラーメン販売をスタートしたということです。記念すべき初代ラーメンバスは、マイクロバスを改造した少々小ぶりなものだったそうですが、1993(平成5)年に、2代目にあたる現在のバスが導入されました。市内の中妻町(なかづまちょう)にある会社から出発して市内各所をめぐり、営業終了後にまた会社に戻ってくるという販売方法がとられてきました。

もとは結婚式場の送迎バス

いまの店舗は2代目のバスで、1978年式の日野RL320となります。この車種は、1975~80年に製造・販売された日野自動車の中型路線・自家用バスで、全長8.62m、全幅2.24mと、大型バスより一回り小さな車体となります。岩手県内の結婚式場の送迎用に使用されていたものを、中古車販売業者経由で購入したということです。会社として事業をスタートした年と同じ時に生まれたというのも、何かの縁だったのかもしれません。

今や貴重なモノコックボディ

では、あらためて車両を見ていくことにしましょう。車体は今となっては貴重で、昔なつかしいモノコックボディです。前編でも紹介したとおり、店舗入口は前扉。暖簾(のれん)のかかる扉を開けると2段のステップ(階段)が現れます。ステップの先にはカーテンで仕切られた運転席があり、営業中は物置きになるようです。ちょっとのぞかせてもらうと、木目調の計器盤の中に時代を感じされるアナログメーターやスイッチ類が並ぶ、レトロ感満点の運転席でした。

ラーメン店の車内はどうなっている?

車内の扉の向こうに広がる店内を見ていきます。もともと装備されていた座席はすべて撤去され、左右両方の窓側にカウンター型の長テーブルが設置されています。イスは移動可能な丸イスで、来店客は窓に向かって座って食事をします。

そして車体最後部には、川嶋さんが腕をふるう厨房(ちゅうぼう)があります。壁で仕切られていますが中央部に窓が開けられており、ここから料理の上げ下げや会計をしたりします。

窓の上にはバス愛好家の来店客が撮影した走行中の写真が飾られており、川嶋さんもお気に入りということです。このように室内にはだいぶ手が入っているものの、天井に目をやれば、元の車内灯や通風器などが残されており、送迎バスとして乗客を乗せて走っていた時代をしのぶことができます。外観は、ちょっと派手な標記とアンドン、サイドオーニング(車両屋根肩にある巻き取り式のテント)以外は原型を保っているといえるでしょう。

移動しないが今後も釜石名物として営業!

しかし、寄る年波には勝てず、修理部品確保が難しくなったことも受けて、昨年秋の車検切れを機に現在の港湾エリアに固定して営業することとなり、移動店舗としての機能はなくなってしまったそうです。車体後部に浄化槽直結のパイプが装備されている様子にも、どことなくさびしさを覚えてしまいます。それでも今にも動き出しそうな白いラーメンバス。これからも釜石市民と、釜石を訪れる観光客に大いに愛されていくことでしょう。

■店舗の場所
▪店舗所在地 岩手県釜石市松原町3-6 パチンコセントラルそば
▪TEL(川嶋精肉センター)0193-23-0656
▪営業時間 10:30~16:00
▪定休日 不定休

※協力:バスラーメンかわしま
※写真・文:伊藤岳志
※本サイトに公開している写真・文は記事制作を条件に取材したものですので、店舗への撮影のお問い合わせはご遠慮いただきますようお願い申し上げます。
※感染症予防対策を行ったうえで、撮影を行っております。

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