「バスが発車します。本日はご卒業おめでとうございます。」現役スクールバス運転士に仕事の魅力を聞いてみた。

こんにちは、バスギア編集部です。

突然ですが、皆さまは「送迎バス」に乗ったことはありますか？

「自動車教習所まで最寄駅から送迎バスで通ってた」
「幼稚園のとき、スクールバスに乗ってた」
「地元の駅からショッピングモールへのシャトルバスが出てる」

いろいろな場面で見ること・乗ることが多い「送迎バス」。
おそらく一度も送迎バスに乗ったことがないという人は少ないんじゃないでしょうか？

送迎バス事業は正式名称「特定旅客自動車運送事業（『特定バス』）」といいます。
運転士は、特定の学校の生徒・企業従業員、商業施設の利用客などの送迎専門バスを運転しています。

各会社にもよりますが
「一度の走行距離が比較的短い」
「運賃収受がない（停留所でお金を受け取らない）」
「休憩時間を多く取れる」
「同じお客さまと顔を合わせることが多い」
などといった特徴があります。

埼玉県で送迎バスを運行する㈱西武総合企画の送迎バス運転士に「仕事の魅力」を聞いてみました。

―――谷口さんはなんで送迎バス運転士になったんですか？
もともと55歳まで別の会社で観光バスを運転していたんですけど、両親の介護などの事情があって、その会社を退職したんです。
その後、年齢も考えて体力的に負担が少ない仕事を探していました。
送迎バス運転士はゆったりとした運行スケジュールが多くて「長く働くにはぴったりだ」と思ったんです。

―――担当するバスを教えてください。
現在は埼玉県にある小中高一貫校の生徒さんの送迎を担当しています。

―――子どもを乗せて走る上で気を付けていることってありますか？
車内アナウンスは特に意識して行います。
元気な生徒さんもいるので、大人が気を付けておかないと。
生徒さんの状況を常に車内ミラーで確認し、席を立ちそうな生徒さんがいたら、車内マイクで「危ないので席を立たないでくださいね」とアナウンスするようにしています。

―――同じ生徒さんと顔を合わせる機会は多いんですか？
担当ダイヤが固定ではないので毎回というわけではないですが、顔と名前を覚えている生徒さんは多いですね。
生徒さんによっては、私の名前を覚えてくださる方もいて、「●●ちゃんおはよう」「谷口さんおはよー！」なんて名前を言い合って挨拶するときもありますよ。

―――生徒さんとお話することもあるんですか？
出発前はありますね。
生徒さんによっては、今日食べた給食の話とか、お母さんに怒られた話とかしてくれることもあります（笑）
出発後は一線を引いて安全運転に努めますけど、毎日のコミュニケーションは大事にしています。
生徒さんから「今日のバスも谷口さんだ！」なんて笑顔で言ってくれたときは、やっぱり嬉しいですよね。

―――生徒さんからすると、谷口さんの顔を見ると安心するんでしょうね。
もしそうだったらすごく嬉しいですね……！

同じ生徒さんと顔を合わせる機会が多いからこそ、成長を間近で見れるんですよ。
小学6年生までワイワイはしゃいでいた生徒さんが、中学に入って学ランを着たら急に落着きだしたりとか。

先日、その学校の高等部の卒業式があったんです。
卒業式を終えて、降車していく生徒さんやご家族の方から「谷口さん、今までありがとうございました」と声をかけていただいたときは、思わず涙ぐみそうになってしまいました。

「同じお客さま」と顔を合わせる機会の多い送迎バス運転士。
路線バスや観光バスの運転士とは違った魅力がある職業だと思います。

送迎バス運転士についてもっと知りたいと思った方は、
5/26（土）『バスギアエキスポ（秋葉原）』の西武総合企画 ブースにお越しください。