バス好きさん!バス運転手さんも必見!!国内路線バス6割以上を生産するジェイ・バス株式会社。バスはこうして作られていた!!!
バスづくりと自家用自動車づくりで異なる3つの違い!
そもそも自動車産業は、非鉄、電装、ガラス、鋳造、鍛造、プレス、板金、塗装、現代はITに至るまで、ありとあらゆる技術を結集した総合産業であり、ロボットひしめく巨大な工場とライン、オートメーション化による「合理的なものづくりの現場」こそが、われわれの持つイメージではないだろうか。
それは今や、日本が世界に誇る高い技術分野における先駆的産業と言ってもいい。
しかし、そこでまず1つめに私たちを驚かせたのは「バスは全てハンドメイドで作られている」ということだ。
本来、自動車は大量生産を目的に、標準化された規格部品を組付ける、いわゆる流れ作業が中心となる。
しかし、バスはシートやガラス、フロアマットなどバス会社によって注文が異なるため、ほぼ全ての作業を人の手で行わなければならない。
そして、2つめに「納車方法が異なる」ということだ。
これは、バス製造とは少し関連性が薄いので深くは触れないが、通常、普通の自動車はトレーラー(車載専用車)による陸送を行い、ディーラーなどから納車される。
一方、大型のバスは自走での納車を行うため、ジェイ・バス(株)では、初期段階からお客様であるバス会社の(公道の幅や環境などを綿密に計算し考慮して)日常的な走行環境に合わせたバスの設計・製造を行っているのである。
またそれだけではない。ジェイ・バス(株)では、空港内を走る(通常のバスより一回りも大きいため公道が走れないような)特殊車両も製造している。では、そのような時はどうするのか?原則、法令遵守に則った上で安全に配慮し、警察に許可を申し出た上で『深夜の自走』による納品を行っているのである。
3つめは、バスを作る上で、「利用者の安全と安心、快適さを考えたバス運転手さんの「声」が反映されている」ということにも非常に感銘を受けた。
これらは当然バス会社毎に内容は異なるが、全ては私たち利用者の立場に立った改善・改良が行われているという点で、どのバス会社にも共通していたのである。
バス製造の現場では、こうした私たち利用者の立場に立った思い遣りのモノづくりが行われていたのである。
ぜひそのような視点でも、優しい気持ちをもって読み進めて頂ければと思う。
それではさっそくバス製造の流れについてみて行こう。
バスは完全受注毎生産!バスづくりの一番最初
バスに限らず、製品や商品の製造にはまずそのほとんどは「仕様」を決定することから始まる。
仕様とは、製造依頼元であるバス会社から納期目安やデザイン等の基本的な項目から詳細までを決定することである。
バスは完全受注毎生産なので、バス製造においては依頼元であるバス会社の希望を「個別」に決めていかなければならない。
例えば、バス運転手が希望する装置やニーズを仕様に落とし込む等、各社利用者とバス運転手の利便・快適を満たすことを目的にその要求も様々だ。
バスづくりの初めの一歩である。
こうした仕様の決定には、経験豊富な技術者が当たる。仕様を間違うと後々の製造の工程に支障が出てしまい、担当者にとってもその責任は大きい。だからこそ技術者としての経験を積むことが要求される。
こうして仕様が決定した後は、作成された仕様書に基づく設計工程に移る。
ものづくりの世界では、全体の工程を管理する「工程設計」、製品を設計する「製品設計」、部品製造のための「部品設計・金型設計」電装部品の組付けや配線を設計する「艤装設計」など多岐にわたる。そのためジェイ・バス(株)の設計者は200人を超える。
また、ジェイ・バス(株)のようにバスを一貫で生産する工場ともなれば、工場内のレイアウト設計も非常に優れている。
限られた工場スペース内を蛇行するようにバスを流していき、バスを効率的に組み立てていくことができるようになっているのである。
バスは3つのステージに分けて製造する!バスはこうして作られていた!!
バスの製造工程は大きく3つのステージに分けられている。バス全体の骨組みを組立てる機体組立、ボディー塗装、そして内装を組立てる艤装(ぎそう)組立である。
さらに機体の組立て工程は8つのブロックに分けて行う。流れとしては、はじめに床面を3つのパートに分けて組み付ける。その後、前後左右4方向ある側面、最後に天井を組み付けていく、というものだ。
こうした製法をビルトアップ構造といい、長年のバス製造経験から合理化と効率化を進めてきた結果、現在の主流である最もシンプルでクリーンな設計方法へと行き着いたという。
また、ジェイ・バス(株)の強みはそれだけではない。バス製造に関するノウハウの蓄積である。過去を振り返れば多くの失敗をしてきたという。
バスのように大型の乗り物では、必然と部品も大きく、特殊なものも増える。そのため、制作するにあたっての前例やお手本が少ない。製造設備・製造方法に工夫が必要で、ひとつひとつが暗中模索の作業であったことは容易に予想がつく。
例えば自動車製造においてはボンネットや天井、ドア等は、プレスという金属の板を金型で押し、複雑な形状を作る製法が多く使われている。
しかしバスのように大型の乗り物は、一般自動車とは全く異なる製法で製造されている。
まず、外装品にプレス部品はほぼ使われていない。そのため金型を必要としないことは、環境対策面でもコスト対策面でも大きなメリットであるが、代わりに板を曲げたり穴をあける板金の技術やそれらをつなぎ合わせる等、人の手による高度な溶接の技術が必要となってくる。
巨大な製品を作り上げる工場を保有することはもちろんだが、こうした技術を開発し、維持・向上してきたからこそ今のジェイ・バス(株)があるのだろう。
人を育てる、技術を育む。ジェイ・バス(株)の「人」にフォーカス!
また、ジェイ・バス(株)では、そのような技術者の人材育成にも余念がない。
ジェイ・バス(株)の《人づくり》について詳しくは、ぜひ第2部・完結編のレポートをご覧いただきたい。ジェイ・バス(株)の魅力が3倍増しでご覧いただける内容となっている。
そのため、ここで言えることは、ジェイ・バス(株)では人材育成はもちろんのことだが、技術の標準化にも積極的であるということだ。
製造業では、もはや一般的な用語となったQCD(高品質・低コスト・短納期)が汎用な時代の中で、お客様からの要望は増加傾向にあり、また多岐にわたる。
そのためにも、例え高額であっても最新鋭設備(ロボット設備やレーザー測定器など)の導入による標準化は、時間効率や低コスト化のためにも必要不可欠なことなのである。
ロボット化の限界「デザイン塗装」で確信したジェイ・バス(株)の強み!
前項で書き綴った通り、最新鋭設備の導入は必要だ。
だが、ロボット化、コンピュータ等を使った自動化や合理化、効率化にも限界はある。
ジェイ・バス(株)では、それを見て明らかだったのが車体のデザイン塗装だという。
デザイン塗装は、ジェイバス(株)の最たる強みのひとつでもある。
塗装は本来、下地を塗ってから本番塗装を行うのが通常であり、バス製造においても大きな差はないのだが、ジェイ・バス(株)では、この下地づくりまでがロボットが行う作業なのである。
そう、最終のデザイン塗装は「人の手」でなければできない―。
これがジェイ・バス(株)の導き出した答えなのだ。
それは過去にデザイン塗装をコンピュータで行う検証をした時のこと。近くで見ると人の手による塗装とコンピューター塗装の見分けはつかなかった。しかし、遠くから見たらそれが明らかに違ってしまっていた。境界がぼやけてしまっていたのだと言う。
そう、勝っていたのは人の手で塗装したバスだった。
それについて担当者は、こう語る。
「近くで塗装を見るとどちらも全く同じように見えるのに、遠くで見るとプログラムで塗装したバスは境界がぼやけてしまっていたりと酷いものだったんです。どんなに技術が進歩しても、人の手でなければならないものもあるのだと痛感しましたね。」
昔から「人の手」が時にロボットやプログラムを凌駕することは、“職人”の世界ではごくあたり前とされて来た。それは、現在も、未来においても人の「可能性」や人の介在が不可欠なことであることの証明ではないかとつくづく思わせられる。
ジェイ・バス(株)では現在もこのような確証を得た上で、デザイン塗装や貼付(ラッピング)作業などを“職人”と呼ばれる人の手で行っているのである。
編集後記
今回、私たちがバス会社やバス運転手という垣根をこえて、バス製造という裏側にもフォーカスしたのは、あなたにもバスが安全で安心なものであるということを知ってもらい、バスをもっと身近に感じ、バスの仕事だけでなく製造を通じてどのような想いで作られているか、あらゆる視点から興味をもっていただきたかったからである。
バスを安全に走らせるために、バスを快適に利用していただくために、日々製造の現場でも試行錯誤や改善・改良が繰り返されている。
ジェイ・バス(株)では、バスに乗る人や運転する人もバスを作る人も―。
バスにかかわるすべての人に力強い未来と感動を届けたいという願いと想いを込め、日々バスを進化させているのである。
取材協力:J-BUS(ジェイ・バス株式会社 宇都宮工場)
公式サイトリンク:http://www.jbus.co.jp/
『バスに関わる全ての人に「喜び」と「感動」と「未来」を創出する』高品質なバスを作り続けている。
この記事をシェアしよう!
フォローする
FaceBookのフォローは2018年2月で廃止となりました。
フォローの代わりにぜひ「いいね!」をご活用下さい。