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よみがえった前輪2軸の大型バス 旭川電気軌道の三菱ふそうMR430[前編]

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旭川電気軌道は北海道旭川市に本社を置き、同市を中心に路線バス網を展開しているほか、貸切バスも運行しています。
同社では2022年10月、約40年前まで活躍していた大型路線バスの三菱ふそうMR430をレストア(大規模な修繕・復元作業)によって復活させました。
三菱ふそうMR430は3軸の大型路線バスですが、大型タンクローリーのように前輪が2軸となっている非常に珍しい車両です。
これまで奇跡の復活を遂(と)げた理由と経緯をお伝えしましたが、ここからは前編・後編に分けて車両そのものにクローズアップしていきます。

復元記念オープニングセレモニーでついにお目見え!

2022年10月21日(金)、三菱ふそうMR430のレストアを行った旭川電気軌道の関連企業、旭川オートサービスの整備工場内にて、「MR430型(3軸レトロバス)復元記念オープニングセレモニー」が開催されました。

主催者である旭川電気軌道の河西利記(かわにし・としのり)代表取締役社長の挨拶(あいさつ)が行われ、川路 勉(かわじ・つとむ)北海道運輸局次長ら来賓(らいひん)から祝辞(しゅくじ)が述べられた後、関係者によるテープカットが行われました。
テープカットとともに白いベールを脱ぎ現れたのが、いぶし銀のボディに紺のアローマークもりりしい、完全復活を遂げた三菱ふそうMR430でした。

また、セレモニーの後は日本旅行による「MR430型3軸レトロバス復元記念特別ツアー」が開催され、全国各地から集まったバス愛好家を中心に、試乗や撮影をともなうツアーが催されました。
このツアーは9月28日(水)に販売が開始されたが、ほどなくして完売したとのことで、MR430への注目度の高さをうかがい知ることができました。
それではこれから、誰もが目をひくMR430の個性的な外観を見ていくことにしましょう。

これが完全復活を遂げたMR430の外観全貌だ!!

何ということでしょう!
令和の時代に完全復活を遂げた旭川電気軌道の1963年式三菱ふそうMR430ですが、40年以上も廃車体として半ば放置状態にあってくち果てたも同然だったことがウソのように、ボディはみずみずしく燦然(さんぜん)と輝き、まるで新車のようないで立ちとなって眼前に現れました。
フロントデザインは1960年代のバスらしくシンプルながらも重厚感がありますが、側面は平行四辺形状の側窓とアローマークのカラーリングデザインによってスピード感ある軽快な印象です。
中扉の窓も平行四辺形状になっていることがポイントです。そして、やはり何よりも前輪が2軸であることがこの型式のキャラクターの全てを物語っています。

後面も1960年代のバスらしく、丸い背中に2分割のリアウィンドウが設けられ、郷愁(きょうしゅう)を誘います。
前面同様、V字型の紺色の塗り分けが施されており、当時としては躍動的なカラーリングデザインであったようにも思われます。
屋根上にあるエアダクト(エンジンへの空気取り入れ口)や通風器のフタが紺色に塗り分けられ、良いアクセントとなっていることも分かります。
後面パネルほぼ全部と右側面最後部にはエンジングリルが設けられており、1960~70年代前半頃の三菱製大型バスにエンジングリルが数多く設けられていたことを裏付けています。
右側窓も平行四辺形状となっていますが、非常扉の窓も同様になっています。

登録ナンバーは現役当時と同じ「128」とするべく希望ナンバーの「旭川230あ・128」となり、2022年9月27日に登録。
車検証上の全長は11.98m、全幅は2.48m、全高は3.06mで、乗車定員は45人となっています。
また、路線バスとしてではなく、貸切バスとしての用途となっていることもポイントです。

さらに細かく側面を見てみると…

他の車種・型式にはない、三菱ふそうMR430だけの特徴である前輪2軸構造。現在の大型タンクローリーなどで見られるものと同じく、1・2軸目ともにシングルタイヤで、両方とも操舵(そうだ)します。

後輪は一般的な大型バス同様、1軸でダブルタイヤとなっており駆動軸です。
左後輪手前には1963年当時のエンジン・シャーシメーカーである三菱日本重工業、ボディメーカーである呉羽自動車工業の銘板が貼られています。
なお、三菱日本重工業の銘板は後面にも貼られています。

側窓は通称「メトロ窓」と呼ばれる引き違い窓となっていますが、平行四辺形のようなナナメの形状になっていることが特徴です。
バス愛好家の間では「ななメトロ」などと通称され、親しまれていることもあるようです。
無数に車体打ち込まれたリベット(びょう)は、1980年代の前半まで製造・販売された大型バスのモノコックボディを象徴する存在ですが、1980年代半ば以降はリベットレスのスケルトンボディが主流となったため、現在の大型バスでは見られなくなったパーツの一つとも言えます。

前面と後面、そしてエンジンの特徴は?

フロントデザインはシンプルな造形で、台座にヘッドライトとフォグランプが縦に配列された、俗に言う「タテ目」に見えますが、ヘッドライト自体は左右に1灯ずつの丸2灯となっています。灯火類の上には三菱ふそうのエンブレムが輝いています。

フロントウィンドウ上にはヒサシが設けられています。
その上には系統表示器窓と行先表示器窓が設けられていますが、1970年代後半の路線バスとしての活躍晩年の写真を見ると、系統表示器は使用されていなかったようです。
系統・行先表示器窓の直上と屋根の端にはマーカーランプを装備していてにぎやかです。
一定世代より上の方には、ガラス越しに見えるワンマン表示も懐かしいところでしょう。
なお、エンブレム直上にあるカメラのレンズのような装備は、現役運行当時にも取り付けられていた対向車のライトのセンサーで、今回のレストアによりダミーで再現されたものとのことです。

後面には系統・行先表示器窓が設けられていないことから、左側面最後部から後面にかけてのコーナー部分に系統表示板受けを備え付けており、復刻された系統表示板がはめ込まれています。
テールライトは1980年代いっぱいまで、全国各地の路線バスで多く採用が見られた柿の種のような形状の通称「バス協テール」を装備しています。

リアウィンドウは左右それぞれが独立している、1960年代までの大型バスでよく見られた構造のものです。
屋根にはマーカーランプを装備しています。事業者名標記は両側面のものを合わせて旧字体で表記していることが特徴です。

エンジンは後面リッド内に鎮座しており、最高出力220馬力、総排気量8,550ccのターボ付き直列6気筒ディーゼルエンジンのDB34型となります。
リッド(点検ブタ)は横開き式です。記事後編では車内の様子を紹介します。

※協力 : 旭川電気軌道株式会社
※写真(特記以外) : 伊藤岳志
※ 文 : バスグラフィック編集部(宇佐美健太郎)

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