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都営バスの2022年度新車(局番H代)はどんな車両なのか? [ 後編 ]

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東京都交通局では2021年、都営バスへ8年ぶりに三菱ふそうトラック・バス製の大型ノンステップ路線バス「三菱ふそうエアロスター」を一挙140台導入し、大きな話題となりました。
三菱ふそうエアロスターは2014年にフロントデザインを一新していましたが、2021年まで都営バスでの導入がなかったことから、ようやく現行のフロントデザインの三菱ふそうエアロスターが都営バスで見られることになったことも話題の一つでした。
本誌でも2022年4月28日発刊の『バスグラフィック』Vol.43において大きく取り上げ、特別付録でトミーテック製「ザ・バスコレクション(バスコレ)」による精密バス模型化もしました。
2022年度も再び都営バスの新車として三菱ふそうエアロスターが導入されており、活躍を始めていることから、ここでも取り上げることにしました。
後編の今回は、2021年度と2022年度の導入車の差異を中心に、小誌イメージガールが一部アテンドを行いながら紹介します。

2022年度と21年度の導入車、最大の違いは屋根上冷房装置

前編記事で紹介したとおり、都営バスには登録ナンバー(ナンバープレート)以外にも東京都交通局が振った車両の固有番号があり、小誌では「局番」と呼んでいますが、アルファベットと数字の組み合わせによって構成される局番にはいくつかの情報が含まれています。
まずはその車両が所属する営業所・支所、つぎにその車両の購入年度、最後に通し番号です。
購入年度については、毎年度それぞれアルファベットが割り当てられますが、2021年度購入車は “G”、2022年度購入車は “H” となっています。
都営バスでは三菱ふそうエアロスター2PG-MP38FK大型ノンステップ路線バスを2021年度には140台を導入し、2022年度に97台導入予定です。
ここでは2021年度購入分を「局番G代車」、2022年度購入分を「局番H代車」と記載し、それぞれの例として有明自動車営業所に所属する局番J-G787とJ-H992を使用し、両者の仕様の差異を見ていきます。
まず、局番G代車と局番H代車の外観上最大の違いが屋根上冷房装置のカバー形状です。

2021年度導入の局番G代車は、三菱重工製の冷房装置を備え付けているため、全体的に平べったい印象のカバー形状となっていますが、2022年度導入の局番H代車は、デンソー製の冷房装置を備え付けているため、高さはあるものの全体的に小ぶりな形状となっています。
これは東京都交通局が指定したわけではなく、メーカーの選定による違いとのことです。

局番H代車とG代車の外観の差異は少ないが…

2022年度導入の局番H代車と2021年度導入の局番G代車の外観上の仕様の差異はあまりありませんが、ポイントとなる部分を挙げると、まず登録ナンバーは局番H代車が標準的な緑の営業ナンバーになったことに対し、局番G代車が局番に合わせた希望登録ナンバーであったことが違いとして挙げられます。

よく見ると、左前輪ホイールアーチ(タイヤ部分のボディの切り欠き)上にある車外スピーカーのカバー形状も局番H代車と局番G代車とでは異なっています。
これはスピーカーそのものがクラリオン製からレゾナント・システムズ製に変わったことによるものです。

側窓ガラスは局番H代車と局番G代車とも着色ガラスとなっていますが、局番H代車の方が局番G代車より着色度合いが薄くなっています。
その理由は、局番G代車で使用していた着色ガラスが製造中止となったからで、それに近い色合いのガラスにしたためとのことですが、局番G代車同様に紫外線などをカットする性能を有しています。

車内で散見される局番H代車とG代車の差異

車内も2022年度導入の局番H代車と2021年度導入の局番G代車とで、目立った仕様の差異があります。
その最たる例が、車内中ほどあたりの天井に次停留所名表示器が備え付けてあるかの有無です。
局番H代車では装備されているのに対し、局番G代車では装備されていません。
局番H代車が備え付けている理由は、「東京都交通局経営計画2022」におけるもので、バスの快適性・利便性向上の一環として、案内表示を車内後方からも見やすくする目標を掲(かか)げていることからです。
この次停留所名表示器は、レシップ製の “OBC-VISION”(オービーシー・ビジョン)と呼ばれているもので、型番はDFL-29UW12-04DT1となります。

つり革の形状も局番H代車と局番G代車では異なっています。
局番H代車は丸型となり側窓面に対してつり革が平行になるように取り付けられていますが、局番G代車はオムスビ型で側窓面に対してつり革が垂直になるような位置関係で取り付けられています。

局番H代車は前扉ガラスに熱線が入ったことで、ガラスがくもりにくくなり、左方視界不良が発生する危険性がより低くなっています。
熱線は非常に細いため、ガラスを相当間近でじっくり見ない限り、見付けることができません。
一般的な乗車利用では局番H代車と局番G代車の前扉ガラスの熱線の有無を確認することはまずできないでしょう。一見しただけですと外観上、両者のガラスに差異は見出せません。
なお、都営バスの前扉の端には2018年頃から車内側に局番が標記されるようになり、扉が開いた際に分かるようになっています。

局番G代車とH代車共通の白色LEDによる行先表示器

いかがでしたでしょうか。
2021年度と2022年度の2年連続で都営バスに導入された三菱ふそうエアロスター2PG-MP38FKですが、基本的な性能、仕様、フォルムは一緒でも、よく見てみると細部の仕様が異なっていることが分かり、興味深かったと思います。
2022年度導入の局番H代車と2021年度導入の局番G代車は、2020年度導入の局番F代車まで採用されていたフルカラーLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)による行先表示器ではなく、白色LEDによる行先表示器となったことも、局番G代車導入時にバス愛好家を中心として話題になりました。
白色LEDによる行先表示器の採用はコスト削減のための一時的な措置(そち)で、今後のスタンダードになるかどうかは未定であるとのことでした。
この白色LEDによる行先表示器はオージ製で、型番は前面がDWL-91A-1470F、側面がDWL-91BX-740F、後面がDWL-91C-1240Fとなっています。
2023年度がまもなく始まりますが、これからも都営バスの新車の動向には目が離せません。

※協力 : 東京都交通局
※写真(特記以外) : 伊藤岳志
※ 文 : バスグラフィック編集部(宇佐美健太郎)
※本項で公開している写真は記事制作を条件に事業者の特別な許可を得て撮影したものです。
記事中の車両の営業所・車庫内での撮影要望を事業者へ行わないようお願い申し上げます。

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