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東急バス初導入の連節バスをクローズアップする![ 前編 ]

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連節バスは2連以上の車体で構成される長大バスのことで、ヨーロッパ各国や中華人民共和国では古くから営業運行されていましたが、わが国では2000年代までごく限られた事業者での営業運行にとどまっていました。
2010年代からは、公共車両優先システム、バスレーンなどと組み合わせ、速達性・定時性の確保や輸送能力の拡大を図ったBRT(Bus Rapid Transit :バス高速輸送システム)と呼ばれる新たなバスの輸送形態が注目されるようになり、それまで連節バス導入に縁がなかった事業者が相次いで輸入車の連節バスを導入し、各地で営業運行が開始されるようになりました。
さらに、2019年5月27日に国産ハイブリッド連節バスの製造・販売が発表されて以降は、導入のハードルも下がったと見えて、より多くの事業者が連節バスを導入しています。
東急バスもそのような事業者の一つで、動画投稿サイトYouTubeの『バスグラフィック』公式チャンネル「バスグラフィックTV」では営業運行を前に訓練運転を行っている様子をレポートしましたが、車両についてももっと詳しく見てみたいというリクエストをいただいたことから、「バスギア ターミナル」でクローズアップすることにします。
前編では車両外観、後編では車内を紹介します。

なぜ、東急バスが連節バスを?

「バスグラフィックTV」でも説明しましたが、そもそも東急バスが連節バスを導入した目的を、「バスギア ターミナル」でもおさらいしておくことにしましょう。
東急バスは、東京都や神奈川県川崎市・横浜市に路線網を展開しているバス事業者です。
昨今、少子高齢化による路線バスの利用者の減少や乗務員不足により、都市部においても減便などが実施され、バスネットワークのサービス水準を維持することが困難な状況にあることが全国的な課題となっています。
東急バスでもそれを鑑(かんが)み、横浜市と連携し、横浜市青葉区北西部においてバス路線の維持・充実に向けた走行環境整備事業として、運行本数の多い路線に連節バスを導入することになりました。
連節バスによって輸送力を確保しつつ運行効率化を図るとともに、それにより生み出されたバス事業者の経営資源を他の路線に再配分し、エリア全体のバスネットワークを可能な限り維持することを目的としています。

国産ハイブリッド連節バスが選ばれた理由

東急バスが初めて導入した連節バスは、日野ブルーリボン ハイブリッド連節バスKX525Z1です。
2023年8月29日登録で、社番はAO7300(横浜200か5347)、青葉台営業所に所属しています。
東急バスの担当者に、選択肢がいろいろとある連節バスの中で、なぜ国産連節バスを導入したのか尋ねたところ、「従来、連節バスは輸入車を導入するしか選択肢がなく、日本の法令に適合しない全幅や、使いなれない仕様などへの対応の問題があると考えていたが、国産ハイブリッド連節バスが誕生し、長年導入しているメーカーの使い慣れた仕様の車両が使用できるようになったため」とのことでした。

車検証上の諸元では、全長17.99m、全幅2.49m、全高3.26mで、乗車定員は112人となっています。

ハイブリッドバスであることから、ディーゼルエンジンとモーターの両方で走行します。
エンジンは最後部に搭載しており、最高出力360ps、総排気量8,866ccのインタークーラーターボ付き直列6気筒ディーゼルエンジンA09C型です。
モーターは最高出力90Kwの交流同期モーターを搭載しています。

東急2020系電車と同じカラーリングデザインの理由は?

東急バスが今回導入した連節バスは、路線バスとして使用する予定でありながら、これまでの路線バスのカラーリングデザインである銀色をベースにして、赤いラインを配したものとは大きく異なるものとなりました。
連節バスは白とグレーの塗り分けをベースにして、その境界線に細い緑色のラインを配したカラーリングデザインとなっており、2017年に登場した東急電鉄田園都市線の新型通勤電車2020系のカラーリングデザインと共通モチーフとなっていることが大きな特徴です。

その理由を東急バスの担当者に聞いてみたところ「鉄道との親和性の演出」が理由の一つだとのことです。

今後、連節バスが営業運行を予定しているのは、東急電鉄が開発した多摩田園都市を代表するターミナル駅のひとつ、東急田園都市線の青葉台駅を発着する青葉台駅~日体大線です。
この路線は、東急バスの特徴的な輸送スタイルである鉄道へのフィーダー輸送の典型例とも言える、鉄道との親和性が高い路線の一つと言えます。
一方で、東急電鉄では長年田園都市線の顔として活躍してきた8500系通勤電車に代わる新しい顔として2020系通勤電車が登場したことから、今回導入した連節バスについては2020系を連想させるカラーリングデザインにしたとのことです。

なお、連節バス従来の路線バスと同じ銀色をベースに赤いラインを配したカラーリングデザインとしてしまった場合、バス停で連節バスを待つ乗客やドライバーから連節バスと大型路線バスの区別がしにくくなる可能性があることを考慮し、一見して特別な車両であることが認識できるよう、検討段階からこれまでの路線バスとは別のカラーリングデザインとするとしていました。

気になる外観のポイントあれこれ

最後に少し、東急バスの連節バスの外観で気になるポイントを紹介しましょう。
まずはなんと言っても前面。
東急2020系通勤電車と同様、顔をイメージさせるデザインとなっています。
日野ブルーリボン ハイブリッド連節バスの前面の意匠に「顔」がマッチしていることが分かります。

前扉の直上には“TOKYUBUS”のロゴが入っています。
よく見ると”TOKYU”が太文字となっていて”BUS”とのメリハリが利いています。
このロゴは右側面の運転席引き違い窓直上にも入っているほか、両側面後方と後面には大きく入っています。
東急バスの固有番号である社番標記「7300」は“TOKYUBUS”のロゴのさらに上に書かれています。

前車体(まえしゃたい)と後車体(うしろしゃたい)をつなぐホロにもボディのカラーリングデザインに合わせて彩色が施されていることが特徴です。
窓上の緑色のラインをホロにも配していることで、前車体と後車体の緑色のラインが途切れず続いているように見えます。
また、黒塗りした窓廻りの天地寸法に合わせ、ホロにも黒の彩色を施していることで、前車体と後車体の窓廻りの連続感が生まれています。
いずれも、東急バスのこの連節バスにかける期待感が伝わってきます。
後編では車内の様子を紹介します。

【バスグラフィックTVで公開中の動画番組】
https://www.youtube.com/watch?v=Z_Xto93pV_A

※ 協力 : 東急バス株式会社
※ 写真(特記以外) ・ 文 : バスグラフィック編集部(宇佐美健太郎)
※ 本項に掲載の車両写真は記事掲載を条件に事業者の特別な許可を得て撮影したものです。掲載車両の営業所・車庫内での撮影要望や運行状況などのお問い合わせを事業者へ行わないようお願い申し上げます。

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