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大型・小型の2種の中国BYD製電気バスを導入した平和交通 大型電気バス紹介編

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これまで『バスグラフィック』誌面や「バスギアターミナル」のWEBコンテンツでは、ハイブリッドバスや燃料電池バスといった新しい動力源のバスをたびたび紹介してきましたが、昨年以来、バッテリーに貯めた電気を使ってモーターの動力だけで走行する電気バスの導入が各地で目立つようになっています。今回は千葉市周辺の路線バスや深夜急行バスのほか、ちはら台・幕張ベイエリア・成田空港方面への高速路線バスなどを運行する、ビィー・トランセ グループの平和交通に今春導入されたばかりの電気バス2種を、2回に分けて紹介します。

■ 導入された電気バスは大型と小型

平和交通では、2006年に、千葉県内で初めてモーターとディーゼルエンジンで走行する日野ブルーリボンシティ ハイブリッドを導入し、地球環境への影響を考慮してきたことから、電気バスについても早い時期から実験的な意味合いも含め、データを取りながら運行していくことを決め、今回の導入に至りました。2020年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、営業売上としても大変厳しい状況ではあったものの、約2年前から国土交通省地域交通グリーン化事業認定に向け準備を行ってきたことから、導入に踏み切ったとのことです。

このたび導入された電気バスは、大型路線バスと小型路線バスの2種。大型は2台で同型ながらカラーリングデザインが異なっており、小型バスは1台のみとなります。いずれも近年各地で導入例が見られる中華人民共和国のBYDというメーカーが製造しているバスです。大型は、アイボリーをベースに緑のラインを配し、アクセントに赤や青などの図形的な模様を入れた「スマイリングシャトル」カラーと、鮮やかな黄色一色の “ BAYTOWN BUS ”(ベイタウンバス)カラーの2色があります。まずは「スマイリングシャトル」カラーをまとった車両を例に大型電気バスから見ていくことにしましょう。

■ 日本初導入の大型電気バスK8RA都市型I

中国のBYD製大型電気バスはすでにプリンセスライン、会津乗合自動車、岩手県交通で路線バスとして運行されているほか、沖縄シップスエージェンシーでは送迎バス、全日本空輸(ANA)では自動運転実証実験車として導入されました。このたび平和交通に導入された大型電気バスは全長10.5mのK8RA都市型Iと言われるタイプで、日本では初導入となります。他社では会津乗合自動車を除き、全長12m級のタイプが導入されてきましたが、平和交通ではBYDから全長10.5mのK8RA都市型Iが納入できると打診があったため、運行する路線事情に適合すると判断して導入が決まったとのことです。すでに各社での導入実績があるBYD製電気バスは、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの安全性、フル充電からの走行可能距離、充実したメンテナンス体制から迷いなく選択されました。また、残念ながらまだまだ運行条件にかなう国産電気バスが登場していないことも大きな理由の一つだったとのことです。

■ 平和交通の大型電気バスK8RA都市型I の性能と仕様

大型電気バスK8RA都市型Iは、容量287kWhのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを備えており、メーカーのプレスリリースでは急速充電器を使用することにより最短3時間で充電が完了するとのことです。フル充電での走行可能距離は約220km。実際に平和交通では1日の運行終了後、夜間電力を活用し、翌朝の出庫までに約6時間かけて充電を行います。充電器は1台につき1台が対応できるよう、営業所構内に大型電気バス2台と小型電気バス1台の合わせて3台分の交流充電器3基を設けており、車体の左右どちらの充電口にも対応できます。

大型電気バスK8RA都市型Iは、左後方に充電口が設けられており、リッド(フタ)を開くと交流用の2口と急速充電のためのCHAdeMO(チャデモ)規格の直流用の1口が現れます。モーターは定格出力75kw、最高出力100kwの交流モーターで2基が搭載されています。最大トルクはモーター1基あたり430Nmです。

外観は近未来的なフロントデザインが印象的です。フロントガラスは1枚モノで、前面行先表示器窓と一体感を持たせています。前中扉構造で、前扉・中扉ともに包み込むように開閉するグライドスライドドアを採用しており、側窓は上段引き違い・下段固定の逆T窓となっています。側面行先表示器は前扉直後にある固定窓の上方前よりに収められています。屋根上の前方にはバッテリーなどを収めたカバーがあり、後方には冷房装置のカバーがあります。車体寸法は全長10.5m、全幅2.5m、全高3.36mで、ホイールベース(前後の軸距)は5.5mとなります。

■ バリアフリー構造で広々とした車内

それでは車内に入ってみることにしましょう。前中扉間ノンステップ構造で、中扉以降が段上げ構造になっています。座席レイアウトは全て前向き座席で構成されていますが、前中扉間のノンステップエリアにある座席は全て1人掛けとなっています。前輪タイヤハウス上には運転席側には座席がありますが、扉側にはありません。中扉前の床面には車イス乗降用の反転式スロープを装備しています。車内はほぼメーカーのカタログ仕様ですが、手スリを付けられる座席には全て付けたとのことです。乗車定員は81人です。

運転席はメーター表示類が近未来的ですが、電気自動車で変速機がないことから、ステアリングホイール(ハンドル)脇には前進と後退、中立のセレクトボタンとホイールパークブレーキのレバーがあるのみで、シフトレバーは存在しません。乗務員の訓練・習熟は、電気バスならではの回生ブレーキの特性をはじめ、アクセルを踏まなくても車両がじわじわと動くクリ―プ現象がないこと、スイッチ類の操作方法が国産車と異なることなどをポイントに行われています。

■ 予定している運行スタイル

平和交通に導入された大型電気バスK8RA都市型Iは2台で、ともに2021年2月15日登録。「千葉200か3222」は鮮やかな黄色一色の “ BAYTOWN BUS ” カラーで、ベイタウン線で運行予定です。一方の「千葉200か3223」は「スマイリングシャトル」カラーで、稲毛線で運行予定です。ベイタウン線に充当される予定の「千葉200か3222」は、海浜幕張駅を起終点とするベイタウンマリンルート・タウンルートを運行します。稲毛(いなげ)線に充当される予定の「千葉200か3223」は、いずれもJR稲毛駅東口を経由する平和交通本社~イオン稲毛店、もしくは、にれの木台中央~イオン稲毛店を運行します。ベイタウン線、稲毛線ともに電気バスのダイヤは固定しないため、始発から終発までの間の1交番に投入される予定で、運行開始は2021年5月の大型連休前後を見込んでいます。

次回は、大型電気バスと同じタイミングで導入された小型電気バスを紹介します。

※ 協力:平和交通株式会社
※ 文・写真 : バスグラフィック編集部(宇佐美健太郎)

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