はとバスの2階建てオープントップバス「エクリプス・ジェミニ3」 ［ 前編 ］

2021年11月16日、東京都千代田区一番町にある駐日英国大使館正門前において、はとバスの2階建てオープントップバス「エクリプス・ジェミニ3」の報道向け撮影会が行われました。
撮影会の主催は、英国北アイルランド開発庁日本代表事務所です。
これは「エクリプス・ジェミニ3」のボディがもともと、北アイルランドにあるバスボディメーカー「ライトバス」（Wrightbus）による製造であったためで、北アイルランドのプロモーションの一環を兼ねて行われたようです。
なお、ライトバスは2019年9月にバンフォード・バス・カンパニーに吸収合併されて子会社化しています。
日本国内向けの「エクリプス・ジェミニ3」も2017年にはとバスとライトバスの間で共同開発が始まり、2019年にその開発事業をバンフォード・バス・カンパニーが継承しています。
撮影会では、「エクリプス・ジェミニ3」を背景にして駐日英国大使のジュリア・ロングボトム氏と、はとバス代表取締役社長の塩見清仁（しおみ・きよひと）氏の記念撮影も行われました。

北アイルランドと言っても、日本ではあまりなじみのない方が多いのかもしれません。
撮影会当日に英国北アイルランド開発庁日本代表事務所が報道向けに配布した資料にもとづいて簡単に説明すると、北アイルランドは英国の一部を形成しており、アイルランド島の北東部に位置し、アイルランド共和国と国境を接しています。
英国自体がイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つのカントリーで形成されており、正式な国名は “ United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland ” 、日本語では「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」と訳されることが多いとされています。
北アイルランドの人口は約185万人、首都のベルファストは港湾都市ですが、北アイルランドそのものがかつての産業革命の中心地で、世界初の工業技術製品となる事例を数多く生み出しているとのことです。

その北アイルランドのバリメナで1946年に創業したバスボディメーカーがライトバスです。
同社は英国とマレーシアに工場を持ち、従業員数は約880人。
イギリスをはじめ、ヨーロッパ各国、アジア、北米、南米に販路を持つグローバルブランドですが、世界市場での売上はイギリスと香港（ホンコン）がそれぞれ30％、シンガポールが27％となっています。
英国国内でおなじみの赤い2階建てバス「ルートマスター」の製造も行っており、多様な技術を持つエンジニアチームが、顧客のニーズに合ったバスボディを作り出しているとのことです。
また、ヨーロッパのメーカーでは唯一、燃料電池バスの製造も行っているとのことです。

ライトバスの大型バス「エクリプス・ジェミニ」シリーズはもともと2000年に登場し、2008年のモデルチェンジで「エクリプス・ジェミニ2」に、2013年のモデルチェンジで「エクリプス・ジェミニ3」となりましたが、はとバスに導入された車両は高さ、幅、長さ、重量などを日本の法令に適合させた日本仕様となっています。
2階建てバスということから、特に全高を3.8m以下に抑えることに重点が置かれ、はとバスとの協力により、それを実現するためのコンポジット・インター・フロア（composite inter floor）の開発に成功したことが大きなポイントとなりました。
また、はとバスが2016年から導入している、バンホール製ボディ架装のスカニア製大型2階建て観光バス「アストロメガTDX24」は後輪が2軸であることに対し、「エクリプス・ジェミニ3」は後輪が1軸であることから取り回しが良く、日本の道路事情によりマッチしているようです。
同社が今後、従来型の国産2階建てバスの置き換えを「エクリプス・ジェミニ3」で行っていくのか、注目されています。
後編では、はとバスの「エクリプス・ジェミニ3」をさらにクローズアップしていきます。

YouTube「バスグラフィックTV」でも、はとバス「エクリプス・ジェミニ3」紹介動画番組を公開中！
https://www.youtube.com/watch?v=h48rIOba95w

※ 写真・文 ： バスグラフィック編集部（宇佐美健太郎）
※ 本項に掲載の車両写真は記事掲載を条件に事業者の特別な許可を得て撮影したものもございます。掲載車両の営業所・車庫内での撮影要望や運行状況などのお問い合わせを事業者や関係機関へ行わないようお願い申し上げます。