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“Japan Mobility Show 2023”で見た「未来のバス」[後編]

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2023年10月26日から11月5日までの11日間、東京ビッグサイトにて国内最大の自動車ショー“Japan Mobility Show 2023”(ジャパンモビリティショー)が開催されました。
従来は「東京モーターショー」の名称で行ってきましたが、自動車だけにとどまらず、ロボットや「空飛ぶクルマ」、燃料電池鉄道車両などの新しいモビリティも出展するショーとなったことが大きな特徴です。
前編ではいすゞ自動車のBEV(Battery Electric Vehicle:電気自動車)フルフラット路線バス“ERGA EV”(エルガEV)を紹介しましたが、後編の今回は未来を見すえた様々なバスを紹介します。

新進気鋭のメーカー「EVモーターズ・ジャパン」の出展は?

“Japan Mobility Show 2023” のバスの出展で注目されたもう1つのバスは、EVモーターズ・ジャパンが製造した2025年日本国際博覧会(2025大阪・関西万博)仕様の大型EVバス(電気バス)です。
EVモーターズ・ジャパンは、2019年に設立され、EVバスをはじめとする商用電気自動車を開発する新進気鋭のメーカーです。
福岡県北九州市を拠点としており、現在、国内初となる商用電気自動車(EVバス)の量産組み立て工場を建設中で、完成後は中華人民共和国のメーカーにて製造した部品やバッテリーを輸入し、最終組み立て工程を北九州市の工場で行う計画を発表しています。
出展した車両は、2025大阪・関西万博の来場者輸送を見すえ、大阪市高速電気軌道(Osaka Metro:大阪メトロ)へ納入する102台のEVバスの中の1台で、大型EV路線バスの“F8 series2-City Bus”です。

2025大阪・関西万博仕様のEVバスとは?

出展した大型EV路線バスの“F8 series2-City Bus”は、2025大阪・関西万博仕様です。
Osaka Metroグループのバス運行事業者である大阪シティバスの路線バスが使用しているブルーとグリーンのグラデーションをイメージしたカラーリングデザインを基本に、2025大阪・関西万博公式キャラクター「ミャクミャク」をモチーフにしたデザインを施しています。
全長10.45m、全幅2.49m、全高3.3mで、ホイールベース(前後の軸距)が5.5mの大型単尺路線バスで、乗車定員は77人です。

前扉は左右に分かれて包み込むように開くグライドスライドドアで、中扉は外側に押し出されて車体にそって開くアウタースライドドアとなっています。
車体にはCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化プラスチック)を使用し、シャーシにはステンレスを採用することで、車両総重量を低減し、高強度による長寿命化と安全性の向上を実現しています。
EVバスとして気になるリチウムイオンバッテリーの容量は210kWh、モーターの最高出力は240kWhとなっており、航続距離は定速60km/h、負荷重約500kg、エアコンを切った状態で約280kmです。
また、独自技術として100万分の1秒というリアルタイムでのモーターの制御を行い、加減速時に発生する無駄な電力を抑える「アクティブ・インバーター」を装備していることも大きな特徴です。

見どころいっぱいの車内

それでは、EVモーターズ・ジャパン“F8 series2-City Bus”2025大阪・関西万博仕様の車内に入ってみることにしましょう!
車内は前中扉間がノンステップエリアで、中扉以降が段上げとなっています。
座席は全て前向き座席で構成しており、運転席側のはね上げ式座席4脚を除き、上部がヘッドレスト状の別パーツとなっている特徴的な形状のハイバックシートを採用しています。
ノンステップエリアの座席は全て1人掛けで、はね上げ式座席以外は可倒式のアームレストを備えています。
車内前方から後方への眺めでは、額面広告枠がズラリとセットされた斜めの左右屋根肩と平らな天井によって、窓上がきれいな台形状の車体断面になることが印象的です。

はね上げ式座席は全てはね上げると2台分の車イススペースとなります。
段上げ部分にはリトラクター(巻き取り)式の車イス固定装置を備え付けています。

車内窓下にはスマートフォンやモバイル機器などの充電が行えるUSB(Universal Serial Bus:データ転送経路)ポートも備え付けています。

中扉以降の段上げエリアには2人掛けの前向き座席が通路の両側に3脚ずつ設けられています。
いずれも可倒式アームレストを備えています。
最後部座席は5人掛けで、1席ずつ独立した座席となっています。

車内中ほどから前方を眺めると、前輪タイヤハウス(タイヤの収納部分)に座席はなく、物置き台となっていることが分かります。
運転席直後の仕切りはセパレート感がある部材で構成しており、縦長の広告枠を備え付けています。
フロントウィンドウ直上には、車内案内表示器のモニターを装備しています。

運転席の様子は国産の大型路線バス、特にディーゼルエンジン搭載バスのものとは大きく異なります。
メーターパネルには電池残量のほか、モーター回転数、モーターとモーターコントローラーの温度などを表示します。
セレクトボタンは計器盤の右端に装備していることも特徴的です。
また、4段階の回生ブレーキを装備していることも特徴で、減速時の運動エネルギーを高効率に電気エネルギーにしてバッテリーへ回収し、フットブレーキをほとんど踏まずに減速や停止することができます。
回生ブレーキの操作レバーはステアリングホイール(ハンドル)の左側に備えています。

フロントウィンドウの左右ピラー(窓柱)には電子補助ミラーがあり、車内外に備え付けているカメラの映像を映し出しているほか、運転席廻りには車内外を確認するための映像を映し出すモニターも個別に備え付けていることも特徴です。

バスの無限の可能性を見た!? MOOX-RIDE(ムークスライド)

自動車の内装システムサプライヤー・フィルターメーカーであるトヨタ紡織(ぼうしょく)では、コンテンツ体験バス“MOOX-RIDE”を出展しました。
この車両は、観光地やイベントへの回遊バス、目的地への期待感醸成(じょうせい)をねらったツアー体験、商業施設から市街地への送迎バスとして送迎中に地域広告、到着地の情報案内を流すことなどを想定して作られたとのことです。
車両の位置情報に合わせて、モニターやディスプレイなどに様々なコンテンツを映し出し、車窓の景色に連動したVR (Virtual Reality:仮想現実)やAR(Augmented Reality:拡張現実)体験を提供することができます。

小型ノンステップバス日野ポンチョをベースにして、車内の座席を映画館のようなひな壇(だん)状に設置。
1席ずつ独立した座席を2列にして車内前方から後方にかけてそれぞれ4席設けていますが、最後部のみ3列配置となっています。

車内前方には縦長の大型モニターを装備しているほか、透明ディスプレイ、立体音響スピーカー、振動子、ミスト送風機、車窓調光装置、コンテンツ提供時の演出用照明装置などを備えています。
また、天井にも映像などを映し出す天井スクリーンプロジェクターも装備しています。
コンテンツ体験乗員は11人です。

ショーでは日本テレビとのコラボレーションにより、異常気象に見舞われながら、環境保全の大切さや様々な気象の発生条件を学べる没入体験型のコンテンツを展開。
車窓映像に重ねるXR(Extended Reality:仮想世界と現実世界を融合する映像技術)表現や、臨場感ある立体音響、座席の振動、ミスト噴霧(ふんむ)や送風など、五感を刺激する移動空間エンターテインメントコンテンツ“HALOWAY”(ハロウェイ)を体験できました。

燃料電池バスや電気バス御用達(ごようたし)の扉メーカー

オランダを本拠とする都市交通用の革新的なドアシステムの大手メーカー“VENTURA SYSTEMS”(ベンチュラ・システムズ)も出展。
日本国内では燃料電池バスや電気バスを中心に、扉が2枚に分かれて開き、包み込むように閉じるグライドスライドドアや、扉が外側に押し出され、車体に沿いながら移動して開くアウタースライドドアなどに同社製が使用されています。

特に近年目立ってきたのが中扉のアウタースライドドア。
会場でメリットを尋ねてみたところ、戸袋を作る必要がないため使用できる車内空間がより広くなること。
また、扉が閉まった状態では密閉性が保たれ走行中のすきま風を抑えられること、さらに、扉が閉まった状態では車体外板と扉がツライチになることから、空気抵抗が軽減され、特に燃料電池バスや電気バスでは電力使用量低減に効果が高いと思われることなどを挙げていました。

会場では、実物の開閉機構はそのままに、扉部分の天地寸法を詰めたグライドスライドドア、および片開きと両開きのアウタースライドドアのモックアップを展示。
実際に開閉動作を間近で見ることができました。

※ 写真(特記以外)・ 文 : バスグラフィック編集部(宇佐美健太郎)
※ 本記事内中に公開している写真は報道公開日に撮影したもので、情報も当日の取材時点のものです。
記事中の車両についてのお問い合わせをメーカーなど関係各所へ行わないようお願い申し上げます。

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