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東急バス初導入の連節バスをクローズアップする![ 後編 ]

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連節バスは2連以上の車体で構成される長大バスで、海外では古くから営業運行されていましたが、わが国では比較的最近になって各地で営業運行が始まりました。
2019年5月27日に国産ハイブリッド連節バスの製造・販売が発表されて以降は、導入のハードルも下がり、多くの事業者が連節バスを導入しています。
東急バスもそのような事業者の一つで、2023年8月29日登録で、青葉台営業所へ日野ブルーリボン ハイブリッド連節バスKX525Z1、社番AO7300(横浜200か5347)を導入しています。
動画投稿サイトYouTubeの『バスグラフィック』公式チャンネル「バスグラフィックTV」では営業運行を前に訓練運転を行っている様子をレポートしましたが、車両についてももっと詳しく見てみたいというリクエストをいただいたことから、「バスギア ターミナル」でクローズアップすることにします。
後編では車内を紹介します。

前車体(まえしゃたい)の様子

それでは、車内を見ていくことにしましょう。
まずは前車体からです。前方から後車体後方を眺めると、後車体の後扉付近まで長いノンステップエリアとなっています。
約18mの車内の見通しは壮観(そうかん)です。
中扉直後の手スリにはICカードリーダーを備え付けています。

運転席側の右前輪タイヤハウス(タイヤの収納部分)直後の座席4脚は折りたたみ式の1人掛け前向き座席で、全てはね上げると2台分の車イススペースになります。
座席の座面は黒色、シートバックは緑色で、外装と同様、東急電鉄田園都市線の新型通勤電車2020系と同じイメージの配色となっています。

床上張りは木目調となっていますが、これも東急電鉄2020系と同じイメージの仕様です。
アースカラーを多用していることで、車内は明るくも落ち着いた印象を受けます。

前車体後端から前方への眺めです。
運転席側の右後前輪タイヤハウス上の座席は背中合わせの格好で設けており、後ろ側の座席は最後部座席と向い合せの関係になります。
扉側には物置き台を設けています。
中扉直後の手スリ上方に車内案内表示器のモニターを備え付けていることが特徴的です。

後車体(うしろしゃたい)の様子

つぎに、ホロより後ろとなる後車体を見ていくことにしましょう。
最後部座席を除いて、運転席側の座席は全てと、扉側の段上げ以降は2人掛けの座席で構成していますが、扉側の一番前端の座席は1人掛けの前向き座席となっています。
後扉直後の手スリにもICカードリーダーを備え付けていることが分かります。

運転席側前端のホロとの境(さかい)部分には、非常時に乗務員に通話することができるインターホンを備え付けています。
その上には、体調の急変などで乗務員に異常が見られた場合、周囲に異常を知らせながら停車するシステムEDSS(Emergency Driving Stop System:ドライバー異常時対応システム)の非常ボタンもあります。

運転席側の座席は、前から2脚がカタログ仕様では1人掛けの前向き座席となりますが、これら2脚は事業者によって1人掛けか2人掛けかを選択できます。
実際には2人掛けを選択している事業者が圧倒的に多く、東急バスも同様に2人掛けを選択しています。

後車体の後後輪タイヤハウス上の座席も背中合わせの格好で設けているため、後ろ側の座席はその次の座席と向い合せの関係になることが特徴です。
このことは運転席側、扉側とも同じです。
最後部座席は実質3人掛けで、扉側は機器箱となっています。

後車体にある後扉直前の手スリ上方には車内案内表示器のモニターを備え付けています。
また、天井前端には乗務員から確認しづらい後車体の車内の様子をとらえるモニターを備え付けています。

ホロの様子は?

これまでも「バスギア ターミナル」で各社に導入された国産ハイブリッド連節バスを紹介してきましたが、意外にも連節バスのキモとも言えるホロについてクローズアップしてきませんでしたので、今回はホロも見ていくことにしましょう。
これは後車体から前車体への眺めですが、連節バスのホロは鉄道車両と同様、ホロは前後の車体(車両)を結び車内を行き来できるものです。
連節バスのホロは鉄道車両のものとは異なり前後が長いことが特徴ですが、その理由は、道路を走行することは線路とは比較にならないほどの急カーブをきるということになるからです。
国産ハイブリッド連節バスのホロは二重構造になっており、車内に立って見ると断面がキノコ型になっていることが分かります。
ホロ部分の床は可動式のターンテーブルとなっており、その下にあるリンクとダンパーなどで構成した連節器によって前車体と後車体をガッチリとつなげています。
この連節器はそれまで連節バス製造で実績のあったドイツ連邦共和国のヒューブナー製を使っています。
なお、上部に見える養生(ようじょう)テープで留められた端が赤い短冊(たんざく)状のものは、仮に使用していた目印で、営業運行でははがされます。

写真はホロの扉側の状態ですが、後車体の端と前車体の端の手スリからホロの途中に設けた手スリにかけてガードロープを渡していることが分かります。
走行中はホロのあるターンテーブル上に滞留(たいりゅう)することはできないことから、乗客が走行中に身体を保持する目的ではなく、ホロへの寄りかかりを防ぐためのものです。

前車体と後車体の左右両端の合計4カ所には、ホロ向かって備え付けた2連の冷房吹き出し口があります。
写真は前車体の運転席側のものです。

運転席廻りの様子

最後に運転席廻りの様子を見てみましょう。
車内外を確認するためのモニターを多数備え付けていることが、一般的な大型路線バスの運転席廻りとの大きな違いです。
メータークラスター(計器盤)左側には車イススペース専用のものを含めて次停車表示灯が2つあります。
系統設定器のモニターは右脇のスイッチボックス上に備え付けています。
連節バスは通常では前車体と後車体を切り離せずトレーラーではないことから、けん引自動車には当てはまらないため、各事業者によって規定は異なりますが、基本的には大型自動車第二種免許で運転できます。

変速機は7速AMT(Automated Manual Transmission:自動変速マニュアルトランスミッション)です。

スイッチボックスの側面には前車体と後車体の空調関係のスイッチやダイヤルがあります。
また、暖房効果を高める装備であるプレヒーターのスイッチもあります。
赤いボタンは運転席用のEDSSの非常ボタンですが、客席用のEDSSの非常ボタンが誤って押された場合の解除機能を備えています。

客席用のEDSSの非常ボタンについては前車体と後車体の両方にそれぞれ1カ所ずつ備え付けています。
前車体のものは運転席直後にある透明素材でできた仕切り上部にあります。

東急バスでは連節バスの導入に合わせ、連日乗務員の運転訓練を行っています。
また、青葉台営業所では定期点検や車検時に連節バスに対応できるよう整備工場に3柱式リフトや法定点検機器を導入したほか、洗車機、給油所も改修しました。
そして、営業運行をにらんで運行経路を安全に走行し、バス停に発着できるよう、おもにバスベイ(バス停車スペース)やバス停の上屋(うわや)を延長するなどの改良工事を行い、運行開始に向けて準備中です。
なお、本取材後、東急バスでは国産ハイブリッド連節バスを青葉台営業所へ増備導入しており、2024年3月中には6台になる模様です。
また、4月から3台でのプレ運行を開始予定で、10月から6台での本格運行を考えているとのことでした。
今春にも東急バスから営業運行についての公式案内が行われる見込みで、今から営業運行が待ち遠しいです。

【バスグラフィックTVで公開中の動画番組】
https://www.youtube.com/watch?v=Z_Xto93pV_A

※ 協力 : 東急バス株式会社 ※ 写真・文 : バスグラフィック編集部(宇佐美健太郎) ※ 本項に掲載の車両写真は記事掲載を条件に事業者の特別な許可を得て撮影したものです。掲載車両の営業所・車庫内での撮影要望や運行状況などのお問い合わせを事業者へ行わないようお願い申し上げます。

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