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伊東浩子の『私にも言わせてよ!』九.次世代に伝えたいこと

みなさま こんにちは。

いかがお過ごしでしょうか?

毎年、桃の節句(ひな祭り)が過ぎると一気に春が近づくような気がして、日が長くなってきたなぁと感じるのもこの頃です。

先日のことですが私は、南房総へ行き菜の花畑を見て、ほっこりと心が軽くなるのを感じて嬉しくなりました。

その翌日にも都内のホテルへお客様をお送りした時に、ホテル正面玄関で満開の大きな桃の木に出合ってまたまた心がほっこり!

桜の開花予想も出ていよいよ春の到来を感じますね。

路線バスの車窓からの眺め・・・特に街路樹の変化が季節変わりをしっかりと伝えてくれるこの時季の乗務がとても楽しみでした。


ともあれ春の到来は嬉しいけれど、この時季あまり歓迎しない厄介な到来物もありますね。

そう、“花粉”です。
みなさまはいかがですか?

実は私も花粉症で、乗務中に突然のクシャミやら目のかゆみにはとても苦労しました。

今では予防も兼ねてマスクの着用が認められていますが、15年ぐらい前まではサービス業に携わる者に、マスクやサングラスの着用は認められなかったんですよ。
必死に堪えたことも今では思い出のひとつですね。


さて、先日私は中学1年生の総合学習の時間に、ゲストとして職業インタビューを受けるという機会がありました。

どのような質問が来たかというと、
・バス運転手の仕事とは?
・必要な資格は?
・バスを運転していて困ったことは?
・どうしてバス運転手になったのか?
などなどです。

それに対して、
・仕事はバスを運転してお客様を目的地にお送りし、対価として報酬をいただくこと。
・バス運転手は、お客様が移動の手段として利用するバスを運転するということ。
・資格は車の普通自動車運転免許と大型二種免許の取得が必要。
・車の運転免許には一種と二種があって、二種免許がないとお客様を乗せて走ることができないということ。
・運転するバスの種類は路線バスや観光(貸切)バス、送迎バス、高速バスがあるということ。  
・困ったことはあまりないけれど、お客様の要望に十分応えられなかった時は振り返り反省します。また、お客様同士のいさかいは仲裁できないので困ったことがありました。
・私は車を運転することが大好きで、大型二種免許を取得した後で偶然の重なりもあって運転手になることができたこと。
・バス運転手の仕事をしながらバスの魅力をたくさん発見しバスの運転を楽しんできたこと。
 
こんな感じでバス運転手の立場やバスを利用するお客様の立場に立って考え、今までの経験談を交えながら学生さん達の質問にお答えしてきました。

心の中では目の前の学生さんが私の話を聞いてバスの運転に興味を持ってくれること、将来職業を選ぶ時にバス運転手が選択肢の一つになることを願いながらお話をさせていただきました。

そして最後に、学生さんに『車の運転をしてみたいと思いますか?』と尋ねたら、みんなの手が上がり嬉しい気持ちになりました。

将来、彼等の中から一人でもバスの運転手になってくれたらうれしいですね。本当に楽しいひとときでした。

その一方で、このところバス運転手の人材不足や若年層の運転離れをニュース等で見ることが増えたなぁとも思います。

都市の交通インフラは整備が進み公共交通機関が便利になったことで、自家用車を持たなくてもよい環境になったことも関係するのでしょうか?
それとも、車を運転することへの関心が低くなったのでしょうか?

自動運転等の技術の進歩も見逃せませんが、車の運転や使用についての意識が変わったように感じます。


『バスでの移動は時間が読めない!』と敬遠する声をよく聞きますが、最近の路線バスは時刻表に書かれた時間通りに走っていることが多いですよ。

バス運転手は手元にスターフ(運行について細かく記された票、運行指示書ともいう)を持ち、そこに書かれた時間を忠実に守って走ろうと最大努めていますし、バス停にバスの運行情報や接近情報が表示されることも多くなりましたので、やむを得ないアクシデントを除いては、ほぼ時刻表通りに運行されていると思います。

また、路線バスはノンステップ車が増えましたし、基本的には階段を使うこともないため乗降も簡単です。
そのため、若い頃はバス利用など考えなかった方々も、年を重ねライフスタイルの変化によって改めてバスが『便利で快適』な移動手段であると気付き、利用なさる人が増えているのではないかと感じます。

私はコラムを書かせていただきながら、バス運転手としても乗客としても魅力ある乗り物だと改めて思う今日この頃です。
この思いを次世代に伝えたいと真摯に思います。

執筆 伊東浩子 『バスギアスペシャルアドバイザー』

いとう ひろこ ― 神奈川県川崎市に生まれ、横浜で育つ。結婚を機に現在の東京都杉並区に移り住む。1992年7月、都交通局に入局。当時35歳で専業主婦から東京都交通局女性乗務員第一号となる。持ち前の元気と負けず嫌いな性格で、主婦業にもいっさい手を抜かず25年に渡って勤務後、2017年に定年を迎え退職。その後は、バス運転手の経験を活かし、講師として地域・社会に貢献。現在も学校運営協議会などを通じて地域の子供達に人との接し方を教えるなどの教育に携わる傍ら、当サイト『バスギアスペシャルアドバイザー』としても活躍の幅を広げている。
伊東浩子の『私にも言わせてよ!』 特集一覧はこちら 関連記事:都営バス初の女性運転手が編集部にやってきた!

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